バンブーズブログ

社会の大きな流れは新聞のトップニュースに掲載されます。 その情報を読み続けていくと数年先が見えてきます。それは怖いものなしです。

[社説]日本アニメは追い風生かせ


 
 
#社説 #オピニオン
2023/8/9 2:00
 
日本アニメは海外で人気(ドイツの見本市で、2022年)
動画配信サービスの普及などを背景に、日本アニメの海外向け売り上げが伸びている。観光や出版などにも波及効果を生む一方、制作現場の疲弊が指摘されている。今の追い風を生かし、強い産業への成長を目指したい。

日本動画協会が2022年に発表した報告書によれば、関連商品を含む日本アニメ産業の海外売上高は1兆3134億円と、7年間で4倍に増えた。今や国内市場と並ぶ規模だ。人気作の舞台は訪日観光客でにぎわい、原作漫画や劇中の音楽への関心も高い。

しかし帝国データバンクによれば、制作企業に限ると人件費増などから4割が赤字で、10年以内に日本アニメの地盤沈下が起こりうるという。コンテンツとしての競争力を生かし、賃金をしっかり上げ稼げる産業としてのシステムを作る時ではないか。

現場ではデジタル技術の活用をもっと進めたい。人工知能(AI)などを上手に使えば若い人材が単純作業から解放され、斬新な企画の考案や独自の作品づくりに挑みやすくなる。ヒット作の収益が制作現場にうまく還元される仕組みも工夫したい。

日本企業の作品や権利の対外販売価格は米国企業に比べ一般に低い。海外との交渉や関連業界の拡大に対処できるマネジメント人材の育成は急務といえる。これまでの大ヒット作には雑誌、音楽、実写映画など他の分野で育ったプロデューサーの貢献が目立つ。

外国の人材や資本ももっと生かしたい。アニメで育った外国人が日本で監督を務める例もある。海外の資金は作品の充実や労働環境の改善に役立つ。公正取引委員会が指摘した「下請けとの契約書の不在」といった不合理な慣習を改める契機にもなりうる。

アニメや漫画の研究には完成作品に加えセル画、原画など中間段階の素材が役立つ。しかし現状は一部の有志や企業が保管を担っており散逸する危険は高い。この部分では国や大学が一定の役割を果たせるのではないか。

[社説]日本アニメは追い風生かせ
 
 
#社説 #オピニオン
2023/8/9 2:00
 
日本アニメは海外で人気(ドイツの見本市で、2022年)
動画配信サービスの普及などを背景に、日本アニメの海外向け売り上げが伸びている。観光や出版などにも波及効果を生む一方、制作現場の疲弊が指摘されている。今の追い風を生かし、強い産業への成長を目指したい。

日本動画協会が2022年に発表した報告書によれば、関連商品を含む日本アニメ産業の海外売上高は1兆3134億円と、7年間で4倍に増えた。今や国内市場と並ぶ規模だ。人気作の舞台は訪日観光客でにぎわい、原作漫画や劇中の音楽への関心も高い。

しかし帝国データバンクによれば、制作企業に限ると人件費増などから4割が赤字で、10年以内に日本アニメの地盤沈下が起こりうるという。コンテンツとしての競争力を生かし、賃金をしっかり上げ稼げる産業としてのシステムを作る時ではないか。

現場ではデジタル技術の活用をもっと進めたい。人工知能(AI)などを上手に使えば若い人材が単純作業から解放され、斬新な企画の考案や独自の作品づくりに挑みやすくなる。ヒット作の収益が制作現場にうまく還元される仕組みも工夫したい。

日本企業の作品や権利の対外販売価格は米国企業に比べ一般に低い。海外との交渉や関連業界の拡大に対処できるマネジメント人材の育成は急務といえる。これまでの大ヒット作には雑誌、音楽、実写映画など他の分野で育ったプロデューサーの貢献が目立つ。

外国の人材や資本ももっと生かしたい。アニメで育った外国人が日本で監督を務める例もある。海外の資金は作品の充実や労働環境の改善に役立つ。公正取引委員会が指摘した「下請けとの契約書の不在」といった不合理な慣習を改める契機にもなりうる。

アニメや漫画の研究には完成作品に加えセル画、原画など中間段階の素材が役立つ。しかし現状は一部の有志や企業が保管を担っており散逸する危険は高い。この部分では国や大学が一定の役割を果たせるのではないか。