バンブーズブログ

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[[社説]3年目の岸田政権は長期的課題にも挑め


 
 
#社説 #オピニオン #岸田政権
2023/10/5 2:00
 
岸田首相は2021年10月4日の就任から丸2年となった(4日午前、首相官邸
岸田文雄首相の政権運営が3年目に入った。これまで外交・安全保障の強化を急ぐ一方で、内政の諸課題への対応は十分とは言いがたい。足元の物価高対策に加え、潜在成長力の底上げや社会保障制度改革など長期的課題の解決にも全力をあげてもらいたい。

首相は20日に召集予定の臨時国会について「経済対策をはじめ先送りできない課題に一意専心に取り組む」と強調している。

政府が10月末にまとめる経済対策は①物価高対策②持続的賃上げ③投資促進④人口減対策⑤国土強靱(きょうじん)化――の5本柱。首相は生活支援策として、給付や減税、社会保障負担の軽減に重点をおく考えを示している。

成果を早く出そうとする姿勢は理解できるが、急を要する対応策と、日本経済の構造を変える骨太な改革を混同すべきではない。需要不足が解消するなか、対策の規模をいたずらに積み上げるような対応は慎まねばならない。

有権者が求めるのは一時しのぎでなく、経済の大きな環境変化を乗り切る力強い戦略ではないか。

首相は「新しい資本主義」という構想を掲げながら、人手不足などの課題を克服して成長を促進する規制改革、年金・医療などの抜本的な制度改革には及び腰といわざるを得ない。

日本経済は長年にわたるデフレの脱却に近づき、賃上げも広がりつつある。強力な金融緩和を続けた日銀の政策にも変化の兆しがある。日本経済が近い将来に直面する課題を見据え、中長期の改革プランを明示してほしい。

岸田政権は「防衛力の抜本的強化」や「次元の異なる少子化対策」に着手しつつ、防衛費増額を賄う増税の具体的な行程や子育て支援を進める安定財源の議論を年末以降に先送りした。

長年の課題である財政健全化にどう道筋をつけていくべきか。社会保障や財政の持続可能性を高めるため、国民の理解を得られる方策の議論も加速すべきだ。

22日には参院徳島・高知選挙区と衆院長崎4区の補欠選挙が投開票される。10月末で現衆院議員の4年の任期の折り返しを過ぎ、早期の衆院解散・総選挙の可能性も取り沙汰されている。

与野党は足元の経済対策の規模や中身だけでなく、「成長と分配」の好循環をいかに実現するかという長期戦略を示して国会審議や選挙に臨んでほしい。