バンブーズブログ

社会の大きな流れは新聞のトップニュースに掲載されます。 その情報を読み続けていくと数年先が見えてきます。それは怖いものなしです。

[社説]デジタルで国と地方結び行政の質上げよ


 
 
#社説 #オピニオン #岸田政権
2023/9/25 2:00
 
第2次岸田再改造内閣では河野太郎デジタル相が新設の「デジタル行財政改革」担当相を兼務する(13日、首相官邸
岸田文雄首相が「デジタル行財政改革」を改造内閣の重点政策に掲げた。アナログ時代に定めた国と地方の権限、業務、財源の分担をデジタル技術の活用を前提に見直し、カネとヒトの無駄遣いを減らすという。

人材や資金に乏しい自治体がバラバラに対応しているシステム開発や行政事務を、国に移管したり全国共通化したりすることで、日本全体として行政の生産性と質を上げられるはずだ。時代遅れになった日本の行政機構を合理的なものに刷新してほしい。

政府はデジタル庁と「デジタル臨時行政調査会」を軸に、アナログ手続きを義務付けた法令をデジタル時代に合わせる規制改革を進めてきた。今度は国と地方を組み合わせた行政の業務フローを変える。デジタル臨調は解散し「デジタル行財政改革会議」が新たな担い手となる。

少子高齢化と人口減少が急速に進むなか、今後、行政課題は増える一方、行政の担い手不足はますます深刻になる。水道のように市区町村単位の運営が経済的に難しくなる行政サービスも多い。

デジタル技術で全国を結び、自治体から国や広域に移管できる業務を洗い出し、移管を進めるべきだ。そうすることで、独居高齢者や一人親世帯のケア、貧困対策など、より重要な政策課題への取り組みに自治体の人材や予算を振り向けられる。市民の手間や窓口の待ち時間も減るはずだ。

転入や転出の届け出、保育所入所の申請、建築基準法や消防法など国の法律に基づく許認可など、内容はほぼ全国共通なのに各市区町村がバラバラに処理している行政事務は多い。デジタル技術で全国を結べば一元化が可能だ。

全国で共通の補助金や許認可に関する問い合わせにも各自治体がそれぞれ対応しており、合理化の余地が大きい。

水道の管理システムの開発と運用を国レベルで広域化すれば、システムコストだけで千億円単位の支出を節約できるとの試算がある。国民健康保険介護保険などの定型事務やシステム開発も、国が担った方が効率的だ。

デジタル行財政改革には、各省庁所管の法制度が定める自治体の権限や義務の見直しが必要だ。このため、事務局は全省庁を総括する内閣官房に置いた。日本の行政の仕組みをゼロから再設計する気概で改革を進めてほしい。