バンブーズブログ

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[社説]常識を変え若い才能伸ばそう 藤井八冠誕生に考える


 
 
#藤井聡太 #社説
2023/10/12 19:00
 
将棋の王座戦を制して史上初の全八冠独占を果たし、笑顔の藤井聡太新王座(11日夜、京都市)=共同
将棋の藤井聡太さんが王座戦を制し、史上初となるタイトル八冠を達成した。プロ入りから7年、21歳2カ月の若者だ。偉業をたたえつつ、若い才能が育つ社会のあり方についても考えたい。

タイトル戦以外の4つの「一般棋戦」でも全て優勝し、まさに人類最強だ。詰め将棋を好み、早くから人工知能(AI)を取り入れて研究してきたためとされる。

だが藤井さんは「AI超え」とファンがうなる妙手も繰り出す。ピンポイントに良い手だけを読む力がAIを上回るのだろう。頂点に立っても向上心が高く、努力を惜しまない。どこまで強くなるのか、末恐ろしさすら感じさせる。

分野は違うが、京都大学の山下真由子准教授が若手女性数学者に贈られる国際賞を日本人として初めて受賞した。昨年、博士号を取得したばかりの27歳だが、国際会議にも招待される新進気鋭だ。

名門高校を1年で中退し、通信制の高校を経て東京大学に入学した。3年生で飛び級し、博士課程を中退して京大の助教になった。中退と飛び級を繰り返し、異色の経歴を歩んできた。

既成概念を覆して活躍する彼らの姿は米大リーグの大谷翔平選手と重なる。共通するのは子どものころから好きなことに打ち込み、自ら伸びるよう努力し、才能を開花させてきたことだ。飽くなき向上心と真摯な姿勢も一致する。

目標へ突き進むことを許し、後押ししてきた両親や指導者らの存在も大きいだろう。サッカー日本代表は強豪国にも勝つ実力をつけた。国内の空洞化を恐れず、有望な若手を惜しげもなく海外へ送り出した成果といえる。

多くの若者は目標を見つけられず悩んでいるが、突出した才能が出てくれば、波及効果は大きい。ビジネスの世界でも、既成概念にとらわれない若い才能が技術革新やアイデアを生み出してきた。

常識というフィルターで才能の芽をつんでいないか。枠にはめず個々の才能を伸ばすには、大人たちが変わる必要がある。