バンブーズブログ

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[社説]ディズニー100年の教訓に学べ


 
 
#ネット・IT #ビジネス #社説
2023/10/18 2:00
 
「ディズニー+(プラス)」などの動画配信サービスの収益化が最大の課題だ
娯楽大手の米ウォルト・ディズニーが設立から100年を迎えた。同社のコンテンツは米国のソフトパワーを高め、強力な著作権保護制度を支えとする事業モデルが多くの企業に影響を与えた。

収益面では動画配信事業で出遅れるなど、課題も多い。失敗も含めてディズニーの経営を検証することは、コンテンツ産業の強化を目指す日本の参考となる。

ウォルトとロイのディズニー兄弟が米ロサンゼルスでアニメスタジオを設立したのは1923年のことだ。実写映画やテレビ、テーマパークなどに領域を広げた。

世界に通用するキャラクターを生み出し、いち早くグローバル化に成功したのも、同社の功績である。文化や言語の壁をこえて、コンテンツ産業でも世界展開が可能であることを示し、売上高が12兆円を上回る巨大企業に成長した。

事業の拡大に買収を多用した点も見逃せない。米ピクサー・アニメーション・スタジオなどの買収でコンテンツを拡充し、経営を安定させた。コンテンツ関連企業の経営基盤の強化が急務の日本もこうした姿勢に学ぶ必要がある。

ただし、買収が経費増加を招いた点には注意が要る。米ネットフリックスなどとの競争が厳しい動画配信事業への投資もかさみ、物言う株主がディズニー経営陣への圧力を強めている。

今後の焦点は配信事業の再建だ。ディズニーは一部のプランを値上げする一方、広告を組み合わせた安価なサービスを伸ばして収益化する青写真を描いている。

カリスマで知られるボブ・アイガー最高経営責任者の後継者問題も焦点だ。アイガー氏は2005年から15年にわたって経営を指揮し、22年に復帰した。アイガー後の経営体制にも注目したい。

同社は著作権保護制度強化の旗振り役でもあり、米国では著作権の保護期間が幾度も延長されてきた。その結果、著作物の収益化の可能性が広がる一方で、人々の創作活動を制約した。功罪両面あると言わざるを得ない。