バンブーズブログ

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食料コストも大切‼️

[社説]食料安保へコストの見える化を進めよ
 
 
#社説 #オピニオン
2023/10/25 2:00
 
国産飼料の増産は農政の優先課題
農産物の生産コストの上昇を、価格に反映できるようにしてほしい。そんな声が農家の間で高まったのを受け、農林水産省はコストの実態を把握できるようにすることなどを議論し始めた。

生産費を売価に反映させる仕組みを期待する声もある。採算割れが続けば食料安全保障に響くが、価格をルールで決めるのは簡単ではない。コストの把握から始めるのは妥当な判断だろう。

農水省は関係する各団体を集めて協議会を設けた。生産から消費にいたる食料の供給システム全体を対象に、持続可能な価格設定のあり方を検討している。

肥料や飼料、燃料が高騰したのがきっかけだ。食品価格は全体に上がっているとの印象があるが、農産物の多くはコストを転嫁できていない。8月の農業物価指数(2020年=100)は生産資材が121.1なのに対し、農産物は102.5にとどまる。

議論で参考にしているのがフランスの制度だ。農家と販売先が結ぶ契約に生産費の変動を反映させることなどを定めている。

同様の制度を日本で望む声もあるがハードルは高い。日本の食料自給率は4割弱の低水準にあり、国産の価格が上がれば輸入品への代替がさらに進む可能性がある。フランスと比べると流通ルートが複雑で、一定のルールを適用しにくいという面もある。

こうした事情を踏まえ、牛乳など流通がシンプルな品目を除き、他は費用をきめ細かく把握することから始める方向になった。標準的なデータを共有すれば、価格決定の参考にできる。購買力の強い川下業者を中心に値段が決まるのを見直す契機にもなる。

収穫や搾乳などに消費者が参加するイベントを後押しし、農業の実情を知ってもらうことにも意味がある。安さを優先する購買傾向を見直すきっかけになる。データと体験の両面で、食料生産の「見える化」を進めてほしい。

コストの上昇に耐えられるようにするため、生産性を高める努力が要るのは当然だ。農地の集約や最新技術の導入で効率化する余地は十分にある。輸出の拡大も、生産基盤の強化に資する。

何より重要なのは、肥料や飼料の輸入依存の見直しだ。すべて国産にするのは不可能だが、国産比率を高めて国際相場の影響を和らげることはできる。農政が向き合うべき最も重要な課題だ。