バンブーズブログ

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[社説]野党の経済論議にも一理ある


 
 
#社説 #オピニオン
2023/10/26 2:00
 
衆院本会議で立憲民主党の泉代表(右)の質問を聞く岸田首相(24日)
岸田文雄首相の所信表明演説に対する各党代表質問が始まった。今国会は物価高対策、コロナ禍からの経済再生、防衛力強化や子育て支援のあり方などが争点となる。直面する課題に正面から向き合う活発な論戦を望みたい。

立憲民主党泉健太代表は政府・与党が検討する減税などの経済対策について「物価上昇局面に過度の財政出動を行うと一層のインフレを招き、実質賃金が低下し、個人消費が落ち込む。規模ありきではなく必要な方々への対策の重点化を図るべきだ」と述べた。

首相は「国民への還元は所得税減税を含め早急に検討を進めていく。足元のわが国の経済状況は賃金上昇が物価に追いついておらず、消費など民間需要は依然力強さを欠く」と反論した。

コロナ禍による国内の需要不足はほぼ解消し、大規模な対策を疑問視する指摘は的を射ている。所得税減税の恩恵が生じるのは来春以降となり、効果への懐疑的な見方は与党内にもある。

日本維新の会馬場伸幸代表は経済対策をめぐり「最低限の物価高対策と生活困窮者への手当てを行うことが合理的だ。国の財布は政権維持のための打ち出の小づちではない」と批判した。

野党各党は近年の国政選挙で消費税率の5%への緊急減税を掲げてきた。日本経済の現状を見据えた主張は一定の理があるものの、手厚い給付措置や負担軽減を看板政策としている点で対策の重点化は共通の課題といえる。

衆参代表質問では、外交・安全保障や国土強靱(きょうじん)化などをめぐる質問も多く出た。

自民党稲田朋美氏は「1000兆円を超える債務残高を有するわが国は、災害や感染症など様々な危機にも対応できる余力を作っておく必要がある」と述べた。

防衛費増額や少子化対策の安定財源をどう確保していくかはなお不明確だ。与野党は目先の対応だけでなく、財政健全化にどう道筋をつけるのかという長期戦略も逃げずに議論してもらいたい。