バンブーズブログ

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医療や介護の効率を高め、メリハリをつけた報酬配分を‼️

[社説]医療・介護の効率を高める報酬改定を
 
 
#社説 #オピニオン
2023/11/30 2:00
 
厚生労働省は2024年度に診療報酬と介護報酬を同時改定する(武見敬三厚労相
2024年度に予定される診療報酬と介護報酬の改定に向けた政府内の議論が本格化してきた。次期改定では国民負担を軽減しながら、医療や介護の担い手の賃上げを実現することが求められる。医療や介護の効率を高め、メリハリをつけた報酬配分を行うことが難題をクリアする条件になる。

医療機関に支払われる診療報酬は2年に1度、介護事業者に対する介護報酬は3年に1度、厚生労働省が改定している。24年度は医療と介護を同時改定する年にあたり、政府は年末の予算編成過程でその大枠を決定する。

日本医師会などの医療団体は物価高で医療機関の経費が増え、従事者の賃上げができないと主張。診療報酬のうち薬価などを除いた本体部分を引き上げるよう求めている。担い手不足が深刻化している介護事業者の団体も介護報酬のアップを強く訴えている。

一方、財務省医療機関のうち診療所の報酬単価を引き下げることで、本体部分をマイナス改定するのが適当だとしている。診療所の経営状況は極めて良好で、報酬を5.5%下げても従事者の処遇を改善できると分析する。

物価高に負けない賃上げが必要なのは、600万人を超す医療・介護の従事者も例外ではない。ただその費用を単純に報酬に上乗せすると保険料率が上がり、国民の手取り収入が減ってしまう。

高齢化と医療技術の進歩で医療費は年々膨らみ、23年度は約48兆円に上る見込みだ。24年度は診療報酬が横ばいでも約8800億円増え、国民は4400億円程度の保険料を追加負担しなければならない。22年度に約11兆円かかった介護費も同様の構図にある。

今回の改定では保険料アップを抑えつつ、物価高に苦しむ従事者の賃金を上げる手立てを考えなければならない。それには施設の種別や職種ごとに経営や賃金の実態を精査し、報酬の配分を最適化する必要がある。介護報酬の増額分を診療報酬の減額で吸収するといった視点もあっていい。

岸田政権は社会保障の改革で国民負担を抑制し、新たな少子化対策に要する負担増分を相殺する方針を掲げる。この観点からも医療や介護の効率化が不可欠だ。

重複診療や過剰な投薬といった医療費のムダ遣いを排除したり、省人化や規模拡大で介護の生産性を上げたりする改革を、今回の改定で強力に推進すべきだ。