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2023/12/1 19:00
墜落した機体と同型のCV22オスプレイ（2018年、東京・米軍横田基地）=共同
米空軍の輸送機、CV22オスプレイが鹿児島県・屋久島沖の海上に墜落し、乗員の死亡が確認された。
同機の日本での死亡事故は初めてだ。同型機は陸上自衛隊も運用しており、国民の不安は大きい。行方不明の乗員の捜索・救助とともに、原因究明と再発防止策を急がねばならない。
事故機には8人が搭乗し、訓練のため米軍岩国基地（山口県）を離陸し嘉手納基地（沖縄県）に向かう計画だった。屋久島空港に緊急着陸を求める連絡をした直後に消息を絶った。今後、米軍主体で原因を調べる。
もし航行中の船舶や陸上の住宅地に落ちれば、一般市民に被害がおよぶ可能性があった。基地周辺の自治体などが飛行を見合わせるよう求めるのは当然だ。日本政府は安全が確認されるまでの飛行停止を米軍に要請したが、事故後も飛行は続いている。
政府は米側と粘り強く話し合い、飛行停止の要請にとどまらず、住民の不安を払拭するための手立てを尽くしてほしい。国民に対する丁寧な説明も求められよう。
オスプレイは開発当初から事故やトラブルが相次ぎ、安全性を懸念する指摘が絶えなかった。2022年に米カリフォルニア州で5人が死亡し、その後一時全機の飛行を見合わせた。だが今年8月にもオーストラリアで3人が死亡する事故が起きた。
中国が東シナ海などで活動を活発化させるなか、オスプレイは南西諸島の防衛を強化するうえで重要な役割が期待されている。政府は暫定配備中の木更津駐屯地（千葉県）から佐賀空港（佐賀県）に移す方針だという。予定通りに計画を進めるためには周辺住民の理解が欠かせない。
日米同盟を維持・強化するうえで最も大事なのは信頼関係だ。オスプレイに対する国民の不信が増せば、両国の同盟関係にも影響が出かねない。安全性の確保に万全を期し、信頼回復に取り組んでほしい。
