バンブーズブログ

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[社説]日本版NSCは絶えず進化を


 
 
#社説 #オピニオン
2023/12/4 19:00
 
国家安全保障局は日本版NSCを支える事務局として2014年1月に発足し、省庁をまたがる政策立案にあたる
外交・安全保障政策の司令塔となる日本版のNSC国家安全保障会議)が発足し10年がたった。官邸主導で政策決定の一元化が進み、重要な判断を迅速にくだし、長期戦略を立てやすくなったのは評価できる。運営のあり方や体制を点検し、必要に応じて見直す不断の努力が欠かせない。

NSCの中核は首相と官房長官、外相、防衛相の「4大臣会合」だ。平時から定期開催して中長期的な戦略を協議したり、ミサイル発射やテロ事案といった緊急事態への対応を擦り合わせたりする。

これを支える事務局として国家安全保障局ができ、外務、防衛、警察の各省庁の職員や自衛官がメンバーに名を連ねた。2020年に「経済班」を設け、経済安保にも取り組むようになった。

こうした仕組みは米ホワイトハウスNSCがモデルだ。従来は外交が外務省、防衛は防衛省と政策の立案は縦割りで、省益を超えた対策をまとめにくかった。いまは国家安保局が複数の省庁にまたがる案件を調整する。

集団的自衛権の行使に道を開いた15年の安全保障関連法制定や、昨年末の安保3文書の策定は日本版NSCが推進役となった。国家安保局長はカウンターパートの米大統領補佐官(国家安全保障担当)ら各国首脳の側近と協議にあたる。海外首脳に日本の方針を伝えやすくなった点も見逃せない。

日本はウクライナ戦争や中東危機でもその役割を問われており、日本版NSCのさらなる進化を期待したい。「インテリジェンス」と呼ばれる重要な情報を集めて分析する機能の向上はその一つだ。

第2次安倍政権は経済協力を織り交ぜたロシア外交を推進し、一時的にせよ中国の広域経済圏構想「一帯一路」への協力姿勢に傾斜した。いずれも外交や安保、経済にまたがる案件で、政権内で異論を抱えつつも政治判断で進めた。

結果をみれば、奏功したとは言いがたい。なぜうまくいかなかったのかをNSCでもしっかりと検証し、今後に生かすべきだ。