バンブーズブログ

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[社説]脱化石燃料の実現へ世界は一層の努力を


 
 
#COP28 #カーボンゼロ #社説
2023/12/16 2:00
 
化石燃料からの脱却で合意したCOP28で演説するスルタン・ジャベル議長=AP
第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)は化石燃料からの「脱却」で合意し閉幕した。段階的廃止は見送られ、合意は妥協に満ちたものになった。

人類が出す温暖化ガスの3分の2が石炭や石油などを燃やすことで発生する。大量排出国の中国や米国は再生可能エネルギー導入に積極的な一方で、化石燃料への巨大投資を続けている。とはいえ、化石燃料の使用を減らす必要性を世界が共有できた意味は大きい。

スルタン・ジャベル議長は「歴史的な合意」と強調した。世界各地で異常気象が頻発し、気候変動の進行は想定を超えている。脱炭素の実現へ、各国は取り組みを加速させなければならない。

合意文書には、再エネを2030年までに世界全体で現状の3倍、省エネ性能を2倍に高めることが盛り込まれた。原子力発電の活用も初めて明記した。

炭素回収・貯留などの技術の普及、電気自動車やハイブリッド車の迅速な導入も促す。あらゆる手段を総動員して脱炭素に取り組むよう各国に求めている。

すでに、地球の平均気温は産業革命前より約1.1度高い。上昇を1.5度に抑える世界目標の実現には、温暖化ガスを30年時点で19年比43%削減する必要がある。今の対策では2%しか減らない。

各国は25年までに新たな削減目標を定める必要がある。目標は野心的かつ実効性のある内容にし、着実に実行してもらいたい。

日本は主要7カ国(G7)で脱炭素の進捗が最も遅れている。30年度の再エネ導入量は21年度の2倍弱にとどまる見通しだ。3倍は困難でも、住宅の屋根や工場など増やす余地はある。もう一段の省エネの推進と安全に配慮した原発の活用にも取り組むべきだ。

そのうえで、脱炭素技術の実用化を急ぎたい。二酸化炭素(CO2)を出さないアンモニアや水素を火力発電に使う技術で日本は先行している。計画を前倒しし、アンモニアや水素の100%燃料化を早期に実現すべきだ。火力発電への依存度が高い国は多く、日本の技術が貢献できるはずだ。