バンブーズブログ

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自民崩壊ならないために[社説]自民は政治資金の透明化から逃げるな


 
 
#社説 #オピニオン #自民政治資金問題
2023/12/24 19:05
 
自民党は「政治とカネ」の問題で再び厳しい批判にさらされている(22日、自民党本部で記者の質問に答える渡海政調会長
自民党派閥の政治資金規正法違反事件は、組織的な裏金づくりの実態を浮き彫りにしつつある。不正の徹底解明と並行し、資金の透明化に向けた制度見直しを加速する必要がある。党全体で改革に取り組まなければ、信頼回復は難しいことを深く自覚すべきだ。

政治資金パーティー収入の不記載は直近5年間で安倍派(清和政策研究会)が約5億円、二階派志帥会)が1億円超とされる。議員側への収入の還流も常態化し、東京地検特捜部が政治資金規正法違反(不記載・虚偽記入)の疑いで捜査を本格化している。

安倍派では「還流分の不記載は派閥からの指示」との証言もあり、過去に例がない規模の不正会計が疑われる。政治活動を「国民の不断の監視と批判の下に行われるようにする」との政治資金規正法の目的から逸脱する行為が慣例化していたのなら言語道断だ。

自民党は1988年に発覚したリクルート事件などを踏まえ、89年に「政治改革大綱」を決定した。①多額の政治資金や派閥偏重の党運営の是正②ガラス張りの収支公開による公正さの確保――などを掲げた。今回の事件は古い政治への回帰をうかがわせる。

自民党は「政治とカネ」の不祥事を起こすたびに小幅の制度改正で批判をかわしてきた。

企業・団体は政治家や資金管理団体に直接の献金ができない。一方でパーティー券の購入は可能なため、以前から「献金の抜け道」との指摘があった。実名などの開示義務も寄付が5万円超であるのに対し、パーティー券購入は1回当たり20万円超となっている。

与野党では今回の事件を受けた現行ルールの見直し論議が始まりつつある。①実名などの開示基準の引き下げ②罰則の強化③収支報告書の公開制度の拡充――などが論点だ。野党の一部は企業・団体献金の全廃も求めている。

国会議員は歳費や期末手当、各種の経費、公設秘書の給与などを合わせれば年間5千万円規模の収入がある。だが地元に事務所を構えてスタッフや車を配置すると、政治活動の経費はとても捻出できないという若手議員も多い。

批判をかわすための中途半端な制度改正では今後も不祥事を誘発しかねない。政治にかかる費用をどう賄うべきか、全体像を見据えた議論がいる。資金の流れの口座送金への一本化や収支のデータによる公開も早く実現すべきだ。