バンブーズブログ

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米共和党の「内向き志向]について

[社説]米共和党の「内向き志向」を憂慮する
 
 
#社説 #オピニオン
2024/1/24 19:05
 
共和党の大統領候補選びにおけるトランプ前大統領の優勢は有権者の内向き志向を映す=AP
米国が世界各地でおきている紛争の解決から手を引けば、国際秩序はますます不安定になってしまう。共和党の大統領候補選びをみると、そんな懸念が強まる展開になっている。

トランプ前大統領が序盤の2州で連勝し、指名獲得に前進した。「米国第一」を掲げる同氏の優位な戦いぶりは、共和党支持者における強い内向き志向を反映する。国際社会への影響が大きい外交政策ウクライナ支援に消極的な姿勢にみられるように、孤立主義的な色彩が濃い。

唯一の対抗馬であるニッキー・ヘイリー元国連大使ウクライナへの支援継続を訴える点でトランプ氏と一線を画す。ウクライナの勝利が「中国の野望を阻止することにつながる」と主張し、国際秩序の維持に米国が責任を果たすべきだと強調する。

濃淡はあれ、対外関与を重視するこうした路線はレーガンやブッシュ父子ら近年の大統領にみられるように共和党の主流だった。ペンス前副大統領やポンペオ前国務長官らトランプ政権で中枢を担った元高官も同じ立場をとる。

指名争いでのトランプ氏の圧倒的な優勢は、こうした考え方がもはや共和党支持者の多数派から受け入れられにくくなってきたことを意味する。ウクライナ支援に使うお金があるのなら、インフレへの対処や移民対策といった国内の課題にもっと力を割いてほしい。彼らはこう考える。

南部フロリダ州のデサンティス知事らすでに撤退を表明した他の共和党候補もトランプ氏と類似のスタンスをとり、一定の支持を集めた。民主党でも左派を中心に対外関与に否定的な意見が根強い。この問題はトランプ氏がいなくなれば解決するわけではない。

中国の台頭で米国の相対的な力が落ち、世界の安定に日本や欧州を含む西側諸国がさらに積極的に貢献する必要性があるのは言うまでもない。ただ、米国で孤立主義的な考え方が広まっているのは私たちにとって由々しき事態だ。

トランプ氏は現実の国際政治に影響を及ぼし始めた。ロシアのプーチン大統領ウクライナとの停戦に前向きな発言を繰り返しているのは、トランプ氏復権を視野に入れた動きだろう。私たちにできるのは日欧やオーストラリアといった同志国の連携をさらに強め、誰が大統領に就いてもいいように備えることである。