[社説]連座制導入へ国会の議論急げ
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2024/1/29 19:00
衆院予算委の冒頭、自民党の政治資金問題を陳謝し頭を下げる岸田首相(29日午前)
通常国会の論戦が始まり、衆参予算委員会が「政治とカネ」の問題で集中審議を開いた。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた対応が焦点となる。資金の透明化や「連座制」の適用を含む厳罰化に向けた議論を深め、制度見直しを急ぐ必要がある。
会期150日の通常国会は26日に召集されたが、岸田文雄首相の施政方針演説などは30日に先送りされた。自民党の裏金問題を先行して予算委で集中的に議論する異例の幕開けとなった。
首相は29日の審議の冒頭で、派閥の裏金事件について「心よりおわびを申し上げる」と陳謝。違反した会計責任者だけでなく議員の責任も問う連座制について「責任体制を確立する観点から連座制も含めて考え方をまとめ、各党としっかり議論したい」と述べた。
自民党は党改革の中間とりまとめで①政策集団(派閥)の資金パーティーや人事推薦の禁止②収支報告の提出時の外部監査の義務付け――などを打ち出した。党独自の対応だけでは不十分である。野党が求める企業・団体献金、パーティー券購入の制限や全面禁止も精力的に議論していくべきだ。
自民党の裏金づくりは派閥主導で長年続き、資金の還流に多くの議員が関わっていた。ルール違反の厳罰化と合わせて重要なのは、不正なカネの流れを遮断するための公開制度の抜本強化だろう。
収支報告のデジタル化を徹底し、資金を扱う政治団体も大幅に絞ってガラス張りの収支公開を実現する必要がある。野党が求める「調査研究広報滞在費」(旧文通費)や党支給の「政策活動費」などの使途公開も進め、私的流用への歯止めとすべきだ。
東京地検特捜部は国会議員3人や各派の会計責任者らを立件する一方で、安倍派幹部7人の立件は見送った。裏金づくりの経緯や実際に何に使われたのかは不明確なままだ。今国会では政治倫理審査会の開催や参考人招致などを通じ、真相究明と関係者の責任追及を徹底していく必要がある。