バンブーズブログ

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ウクライナ問題は軽視しないで欲しい

[社説]北欧のNATO加盟で結束を
 
 
#社説 #オピニオン
2024/1/26 19:00
 
2023年7月、リトアニアで開催されたNATO首脳会議を前に集まったトルコのエルドアン大統領㊧、スウェーデンのクリステション首相㊨、ストルテンベルグNATO事務総長=TT通信社・ロイター
北欧スウェーデン北大西洋条約機構NATO)に加盟する見通しとなった。ロシアが侵攻したウクライナの支援で民主主義の国はさらに結束を強め、法の支配にもとづいた世界の秩序を守っていく必要がある。

難色を示していたトルコの議会が23日に加盟を承認したのに続き、ハンガリーのオルバン首相も24日に加盟を認めると表明した。全会一致の決定を原則とする加盟への道筋がついた。

NATOバルト海の防衛戦略で優位に立てる。1カ国への攻撃を全加盟国への攻撃とみなす集団安全保障の適用範囲が広がり抑止力が強化される。

重要なのは象徴的な意味合いだ。先に加盟を実現したフィンランドとともにスウェーデンは軍事的な中立政策を堅持してきたがウクライナ危機でこれを転換した。ロシアのプーチン大統領は、あれほど警戒していたNATO拡大をみずから招いた現実を重く受け止めるべきだ。

トルコのエルドアン大統領は加盟承認をめぐり、クルド人活動家の引き渡しやイスラム差別の取り締まり強化をスウェーデンに求めた。オルバン氏には反欧米的な姿勢を国内にアピールするねらいがあったとみられている。

機会主義的な利益の追求は、一貫性と一体性が重要な対ロ戦略を混乱させる。中堅国家が短期的な利益を優先する「ディール外交」を活発にしているのは心配な兆候だ。

欧米の主要国のあいだにもウクライナ支援の継続に消極的な意見がひろがっている。米国のトランプ前大統領は「米国第一」をかかげ、11月の大統領選挙の野党・共和党の有力候補へまい進する。その人気は強まる内向きムードを如実に示している。

日本は加盟国ではないが、価値を共有する国としてNATOと連携を強めていく必要がある。欧州とアジアの安全保障は不可分だ。ウクライナ問題を人ごととして軽視するのは危険である。