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国会では日本の将来を見据えた論戦を深めてほしい。

[社説]政策実現でも信頼回復につなげる国会に
 
 
#社説 #オピニオン
2024/1/31 2:00
 
日本の将来を見据えた国会論戦が求められる。衆院本会議で施政方針演説をする岸田首相(30日)
通常国会の焦点は「政治とカネ」の問題だけではない。政府と与野党が経済や外交・安全保障などの課題にどう向き合うかに国民の視線が集まる。政治の信頼回復には政策の実現が欠かせない。

岸田文雄首相の施政方針演説には危機感が足りない。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を陳謝し「国民の信頼なくして政治の安定はない。その信頼が揺らいでいる」との認識を示したが、国民の政治不信の高まりは格段に厳しいと受けとめる必要がある。

首相は「自民党は変わらなければならない」とし、そのために「私自身が先頭に立って必ず実行していく」と宣言した。その場しのぎの手立てはもはや通用しないことを肝に銘じてもらいたい。

国政の遅滞は許されない。重要政策の取り組みも加速すべきだ。

首相は日本経済の最大の課題に「デフレ完全脱却」を挙げ、物価高を上回る所得増の実現を目玉に据えた。賃金と物価の好循環をもたらす持続的な賃上げの実現はなお道半ばだ。生産性向上など民間の努力を支える環境をしっかりと整えるのが政府の役割である。

深刻な少子化への対策では、国民に追加負担を生じさせないと繰り返した。財源は「徹底した歳出改革と賃上げによる効果」を見込むとしたが、現役世代の負担軽減につながるのか。政治は大幅な増額を決めた防衛費とともに財源確保に道筋をつける責務がある。

政府・地元が一体となって能登半島地震の被災者に寄り添った取り組みを続けていくとも訴えた。中国や北朝鮮の軍事的脅威に対し日米同盟を軸に抑止力を高めつつ、多発する大規模災害と安全保障の危機に同時に直面する事態にも備えを怠ってはならない。

長期化するウクライナ戦争と中東危機は、輸入に頼るエネルギーと食料の安全保障を巡る問題点を日本に突きつけた。内外のリスクが広範におよび、かじ取り役である政治の重要性は一段と増す。

「国民に成果を実感してもらう年にする」との訴えをかけ声倒れにしてはならない。政治改革と並行して、積年の課題の解決へ指導力を発揮するときだ。

野党にも注文を付けたい。さまざまな重要課題で政権への批判を重ねるばかりで建設的な対案を示せないままなら、国民は政権交代が可能な政党との安心感をもてない。国会では日本の将来を見据えた論戦を深めてほしい。