バンブーズブログ

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[社説]トヨタ主導でグループの不正を断ち切れ


 
 
#社説 #オピニオン

トヨタ自動車のグループ企業でまたもや不正が発覚した。トヨタの源流企業である豊田自動織機が、トヨタに供給する自動車用エンジンでも試験データを偽っていたことが分かった。

巨大企業グループの信頼を根底から揺るがす異常事態が次々と明らかになっている。トヨタグループは膿(うみ)を出し切り、不正を断ち切らねばならない。

豊田織機は昨年3月、フォークリフト用エンジンの排出ガス試験で不正が見つかった。外部委員会の調査により、トヨタの人気車種「ランドクルーザー」などに搭載されるエンジンの出力試験での不正が新たに明らかになった。

トヨタグループでは、昨年12月にダイハツ工業が30年以上にわたって軽自動車などで品質不正を続けていたことが判明している。日野自動車もトラックなどの排出ガスや燃費を巡る不正が発覚した。いずれも生産に必要な国のルールを破る悪質な行為だ。

中核企業の幅広い車種が不正の対象になっており、グループ全体の問題といえる。不正対象の車種は出荷が止まり、関連する産業への打撃も甚大だ。

トヨタ豊田章男会長は1月30日に開いたグループ指針の説明会で「顧客の信頼を裏切り、認証制度の根底を揺るがす極めて重いこと」などと謝罪。不正を起こした3社は会社をつくり直すぐらいの覚悟が必要だと指摘し、「責任者としてグループの変革をリードする」と語った。だがグループ内にはびこる不正をトップとして具体的にどう撲滅するかへの言及は乏しかったと言わざるをえない。

豊田会長はグループでさらなる不正が発覚する可能性を問われ、「私が知っているかぎりない」と述べた。まずはトヨタ本体も含めて不祥事がないかをもう一度、徹底的に洗い直す必要がある。

いまでも何らかの不正や隠蔽が続いているとしたら、グループ経営に取り返しのつかない影響が及ぶことを深く自覚すべきだ。会長自身もグループ各社がトヨタ本社に「ものがいいづらい」問題があると認めている。

トヨタはグループ全体の新車販売が4年連続で世界首位となった。問題解決を各社任せにしてはならず、豊田会長を筆頭とするトヨタ経営陣がグループ全体の改革を責任をもって主導していくべきだ。統治体制の総点検を含めた包括的な再発防止策が求められる。