バンブーズブログ

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《国内消費を映す流通再編》

[社説]縮む国内消費を映す流通再編
 
 
#社説 #オピニオン
2024/2/3 19:00
 
イオンがツルハHD株を追加取得すれば、持ち分法適用会社化が可能になる
国内流通で再編の機運が強まっている。イオンがドラッグストア大手のツルハホールディングス(HD)の株式の追加取得に動き、巨大ドラッグストアチェーンが誕生する可能性が出てきた。

消費者の健康志向や低価格志向を受け、ドラッグストアは成長産業だった。しかしここで起きた再編の流れは、人口減を背景に国内消費の先細りを反映しており、小売企業は生き残りへ向けた戦略作りを急ぐべきだ。

イオンは1月29日に海外投資ファンドのオアシス・マネジメントからツルハ株を追加取得することを交渉すると発表した。イオンはすでにツルハHDの筆頭株主だが、追加取得すれば持ち分法適用会社化が可能になる。

ツルハはイオンを筆頭株主としながらも、あくまで単独での成長を進めてきた。本社のある北海道の地盤を固め、出店とM&A(合併・買収)で東北、関東、西日本と勢力圏を広げてきた。

経営の拡大は続いている一方で収益力や株価には陰りも見えていた。2022年末からはオアシスが株を保有し、経営体制の見直しを求めていた。

こうした流れでイオンは名実ともにツルハHDへの影響力を行使するために追加取得に動いた。イオンの傘下にはドラッグストア最大手のウエルシアHDがある。展開によってはドラッグストア市場の25%のシェアを握る巨大チェーンが誕生することになる。

近年のドラッグストアは医薬品に加えて、低価格の加工食品を増やし、市場を広げてきた。今回の動きを見ると、単純な規模の拡大だけでは成長が難しくなってきたことを示している。

物価上昇の中で消費者志向は節約に走るか、本当に欲しいものにこだわるかに二極化している。

このため小売りの経営も合従連衡を目指すのか、地域ニーズをさらに深掘りするのか、選択を迫られている。イオンのツルハ株取得の動きは時間の猶予がなくなってきたことも示しているのだ。