バンブーズブログ

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[社説]ガザ休戦で中東の危機拡大を食い止めよ

[社説]ガザ休戦で中東の危機拡大を食い止めよ
 
 
#社説 #オピニオン
2024/2/3 19:05
 
バイデン米大統領はイランのさらなる挑発にクギを刺す(2日、殺害された米兵を迎えるバイデン氏) =ロイター
米軍がヨルダンで米兵3人が殺害された報復として、イラクとシリアの親イラン武装勢力の施設を空爆した。イスラエルパレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスの衝突は、親イラン勢力と米国の対立という形で中東各地に拡散しつつある。危機の拡大を関係国が全力を挙げて食い止めなければならない。

バイデン米大統領は声明で「米国は中東、世界のその他地域での紛争を望まない」としながらも、「米国人に危害を与えれば報復する」と明言し、親イラン武装勢力にこれ以上の挑発行為をとらないようクギを刺した。

ガザの衝突が起きた後、中東で米兵が死亡したのは初めてだった。バイデン氏は11月の大統領選を控え「弱腰」批判を避けたい事情がある。野党の共和党にはイランへの直接攻撃を求める声もある。報復の応酬を招きかねない危険な戦略といえよう。

経済危機で国民の不満が高まるイランも、米国との直接衝突は避けたい立場だ。だが国交がない両国が偶発的な衝突にいたる危険は一段と高まっている。

米国とイランが相手の「レッドライン」(越えてはならない一線)を読み誤らないため、欧州などの第三国を通じた間接的なコミュニケーションが重要だ。米国の同盟国でありながらイランとも歴史的に友好な関係にある日本も役割を果たす余地がある。

ガザの衝突は、レバノンイスラエルの国境における部分的な交戦や、紅海のタンカー襲撃と米英軍による報復など、すでに関係国を巻き込みながら拡大し、状況も複雑になっている。

国際社会が優先的に取り組むべきは、危機の起点であるガザの衝突と緊張を和らげることだ。2023年に短期間とはいえ、いったん成立した戦闘休止を復活させ、ハマスに連れ去られたイスラエルの人質の返還や、ガザへの人道支援物資の搬入を実現させることが第一歩となる。

4カ月近くもハマスに拘束されているイスラエルの人質や、食糧や燃料の枯渇に直面するガザの一般市民の苦痛は想像を絶する。戦闘長期化は双方の憎しみを膨らませるばかりだ。

休戦は恒久停戦のきっかけとなる。戦後の中東危機の震源であったパレスチナの和平実現に向け、今度こそ国際社会が一致して取り組むべきだ。