バンブーズブログ

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[社説]ブラジルG20は協調諦めるな


 
 
#社説 #オピニオン
2024/3/2 2:00
 
共同声明を採択できずに閉幕したG20財務相中央銀行総裁会議は国際協調の難しさを改めて浮き彫りにした=AP
20カ国・地域(G20財務相中央銀行総裁会議がブラジルで開かれ、2会合ぶりに共同声明を採択できずに終わった。ウクライナ戦争や中東危機を巡る文言で各国が折り合えなかったのが主因だ。先週のG20外相会合も同じくウクライナ問題などで参加国の対立が目立った。

G20はグローバルな課題への処方箋を探る多国間協力の枠組みである。今回の会議で共通の認識を示せなかったのは残念だが、国際協調の立て直しに向けた努力は諦めずに続けてほしい。

今年のG20議長国のブラジルは議長総括で「豊かな世界経済を促進するため、経済の国際協力を強化する重要性を強調する」と訴えた。ブラジルは新興・途上国の貧困問題や地球温暖化の悪影響を重くみて、世界銀行など国際開発金融機関の抜本的な改革や富裕層への課税強化を唱えている。

先の外相会合では、グローバルサウスと呼ばれる新興・途上国の意見を国連などでより反映する仕組みにすべきだと訴える声があがった。国連安全保障理事会ウクライナ戦争や中東危機への対処で十分な役割を果たせず、機能不全が続く。グローバルサウスにはこんな現状への不満がくすぶる。

そうした国・地域の主張に寄り添う必要性が一段と高まる現状を、先進国は直視すべきだ。

気候変動やエネルギーといった地球規模の問題はグローバルサウスとの協調なくして前に進められない。国際エネルギー機関(IEA)が、エネルギーの消費大国であるインドと加盟交渉に入るのも同じ理由だ。新興国がその国力に見合った形で意思決定に参画できるよう、それぞれの国際機関で十分に議論してもらいたい。

G20議長国はインドネシア、インド、ブラジルに次いで来年は南アフリカとグローバルサウスが続く。ブラジルなどとともに安保理改革に取り組んできた日本が、これらの国々と協力関係を強めるべきなのは言うまでもない。それは国際秩序の安定にもつながる。