[社説]
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2024/2/6 19:00
イタリアのメローニ首相㊧はG7広島サミットの成果を引き継ぐと岸田首相に約束した(5日、首相官邸)
岸田文雄首相が来日したイタリアのメローニ首相と会談した。イタリアで開く6月の主要7カ国(G7)首脳会議に向け、昨年の議長国を務めた日本が緊密に協力すると約束した。
ウクライナ戦争や中東危機に収束の兆しはみえず、11月には米大統領選もある。G7にとって今年は結束を緩めることなく、法の支配に基づく国際秩序を維持するうえで正念場だ。その一翼を担う日本は議長国を終えても重い責任を負うことに変わりはない。
両首脳はウクライナ支援でG7が国際社会を主導する重要性を共有した。米欧で「支援疲れ」が広がり、戦況は厳しさを増す。日本は米欧のような殺傷能力のある装備品の提供はできない。都内で月内に開くウクライナ復興支援を目的とした2国間会議の機会も生かし、幅広い分野でウクライナの後押しを続けるべきだ。
両首脳は中東危機で事態の沈静化へ努力を確認した。G7は昨秋の外相会合でパレスチナ自治区ガザでの戦闘を一時的に止める「人道的な休止」を支持した。実現したが7日間で戦闘は再開した。
再び戦闘休止にこぎ着け、恒久的な停戦につなげるさらなる外交努力が急務だ。親イラン武装勢力の活動で紛争拡大の懸念も強まる。イランと伝統的に友好関係にある日本もこの地域の安定に果たせる役割があるはずだ。
中国に対処するうえで、アジアから遠い欧州の関心をつなぎ留めるのは大事だ。イタリア軍の空母の日本への年内の寄港が決まったことを歓迎したい。
グローバルサウスと呼ばれる新興・途上国との協力の大切さについて両首脳は申し合わせた。西側諸国と中国・ロシアのいずれにもくみさないこれらの国々の動きは国際秩序を左右する。
首相は1月中で調整していた20カ国・地域(G20)議長国のブラジルを含む南米3カ国訪問を内政上の理由で先送りした。グローバルサウスへの関与を強めるためにも早期に実現してほしい。