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プーチン氏「圧勝」は侵略を正当化しない

[社説]プーチン氏「圧勝」は侵略を正当化しない
 
 
#社説 #オピニオン #プーチン氏動向・解説
2024/3/18 19:05
 
17日、モスクワでの勝利宣言後に支持者に囲まれるプーチン大統領(中央)=AP
ロシア大統領選でプーチン氏が通算で5選を果たした。過去の選挙も自由で公正とはいえなかったが、今回は国際法にも違反した。結果をそのまま受け入れるわけにはいかない。

プーチン氏が5期目になすべきことがあるとすればウクライナ侵攻という蛮行に終止符を打ち、罪を償うことだ。とはいえ、全体主義的な独裁体制を固め、これまで以上に強硬に振る舞うのだろう。

ウクライナについてもゼレンスキー政権を倒し、影響下に置くまで攻撃を続けるつもりだ。

勝利宣言したプーチン氏は「どんなにわれわれを脅しても、歴史上誰も成功しなかった。今後も失敗するだろう」と述べ、西側との対決姿勢をあらわにした。

核兵器による脅しも辞さないロシアが世界の脅威であり続けるのは間違いない。法の支配や人権を重視する国際秩序に揺さぶりをかけ、中国など権威主義的な国と連携し、民主主義陣営の分断を仕掛けてくることが懸念される。

西側諸国は団結し、それらに備えねばならない。日本にとって北方領土返還の見通しが立たないのは遺憾だが、いまは長期的な対ロシア戦略を再構築するときだ。

プーチン氏は首相時代を含め通算30年の長期政権を手にした。ソ連時代の独裁者スターリンと並ぶことになる。6年後に出馬し、2036年まで大統領にとどまることに憲法改正で道を開いた。現在71歳であることを考えれば事実上の終身大統領が視野に入る。

投票率、得票率ともに過去最高だったのは政権側の演出の成果だ。反対派候補をことごとく排除し、メディアや国営企業など政権の息がかかった組織を総動員してプーチン氏への投票を後押しした。独立した監視団もいなかった。

そのようなつくられた「圧勝」は長期独裁と侵略を正当化するものではない。裏返せば自信のなさの表れともいえる。

選挙は占領したウクライナ東・南部でも強行された。統治を既成事実化する狙いだろう。これに対し、日本を含む57カ国・地域は共同声明を発表し「国際法上、なんの効力も持たない」と非難した。

当然の対応だが、撤退を促すには行動も必要だ。軍事支援のほかに、多くの国の参加が可能で効果的なのはロシア経済に打撃を与えることだ。西側主導の制裁に距離を置く国を説得し、取り込んでいく努力が引き続き重要になる。