バンブーズブログ

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ロシアは公正なテロ捜査を!

[社説]ロシアは公正なテロ捜査を
 
 
#社説 #オピニオン
2024/3/24 19:00
 
イスラム国」(IS)がモスクワ郊外の銃乱射テロを実行したと主張する4人の戦闘員(画像の一部が加工されています。IS系列メディアのテレグラムより) =共同
目を覆う惨劇だ。モスクワ近郊のコンサートホールで銃乱射テロが発生した。爆発による火災も被害を拡大させ、犠牲者は130人を超えた。子どもを含む無差別なテロは断じて容認できない。

過激派組織「イスラム国」(IS)系の通信社がIS戦闘員による犯行と認め、実行犯の写真を公開した。ロシアは2015年にシリア内戦に武力介入し、ISを攻撃した。アフガニスタンでもISと対立するタリバン政権を支持しており、テロの対象になった可能性がある。

これほど大規模なテロの実行力がある組織が活動を活発化させているのは脅威だ。1月にはイランでも爆発テロが発生し、80人以上が死亡した。世界でテロが拡大すれば経済を含め影響は大きく、日本にとっても人ごとではない。

ロシア当局は実行犯4人を含む11人を拘束し、捜査をはじめた。テロ撲滅はどの国にとっても利害が一致する共通の目標だ。ロシアはまず公正な捜査で全容解明に全力を尽くすべきだ。そのうえで関係国と情報共有し、今後の対策に役立てる責任がある。

懸念もある。プーチン大統領は今回のテロ発生後、「容疑者たちにはウクライナ国境を越えるための窓が用意されていた」と述べ、同国の関与を示唆した。

根拠が何かは不明だが、仮に戦争状態にあることを理由にウクライナに責任を負わせようとしているのなら、あってはならないことだ。ましてウクライナへの新たな攻撃の口実にするのはもってのほかである。

米国は事前にテロの情報をロシア側に伝えていたが、プーチン氏は「ロシア社会を不安定化させることを意図したもの」と述べ、防ぐことができなかった。

無力な反体制派への捜査や弾圧に力を入れる一方で、多数の犠牲者を出すテロを許したのは、統治手法の誤りを映す。独裁を強め、ウクライナ侵攻に固執するプーチン体制の長年のひずみが広がっているともいえそうだ。