バンブーズブログ

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宝塚歌劇団の俳優の女性が死亡した問題

[社説]宝塚歌劇団はあしき体質を一掃せよ
 
 
#社説 #オピニオン
2024/3/29 19:00
 
死亡した俳優の女性に対するパワハラを認め、謝罪する阪急阪神HDの嶋田泰夫社長(中央)ら(大阪府豊中市)=共同
宝塚歌劇団の俳優の女性が死亡した問題で、歌劇団を運営する阪急電鉄の親会社、阪急阪神ホールディングス(HD)が上級生らによるパワーハラスメントを認め、遺族に謝罪した。

女性の死亡から半年。一連の問題は節目を迎えたが、対応が後手に回り、阪急阪神HDやグループ企業への信頼は失墜した。再び同じ過ちを犯さぬため、パワハラ撲滅に向けた覚悟が問われる。

歌劇団は昨年11月、パワハラやいじめは「確認できなかった」とする調査報告書を公表した。遺族側が反発し、双方で話し合いを続けていた。

28日記者会見した阪急阪神HDによると、ヘアアイロンでやけどを負わせたり、人格否定のような言葉を浴びせたりした14件をパワハラと認定。そのうえで長時間労働パワハラを放置した歌劇団に過失があったとした。

遺族の苦しみを考えれば、もっと早く責任を認めるべきだったのではないか。対応のまずさは否めない。再生への道のりは極めて険しい。

歌劇団側は再発防止策を公表した。公演数の削減やメンタルケアの充実、古くからのルール・指導方法の見直し――など多岐にわたる。順次実施しているというが、取り組みを加速してほしい。

より重要なことは、運営のあり方や体制整備ではなく、組織内の意識改革である。「芸事」を名目に人権を軽んじるような、あしき体質を一掃しなければならない。そのためには新設する諮問委員会を含め、外部によるチェックが欠かせない。

宝塚歌劇団では入団後一定年数以上たつと雇用関係のない個人事業主となり、本人に不利な契約を強いられたとされる。今回の問題を受け、労働基準監督署が働き方の実態などを調べている。

フリーランスの働き手が、過重労働やハラスメントで追い詰められることはあってはならない。保護の仕組みが十分か、あらためて検討する契機にしたい。