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政治資金の不正根絶へ実効ある法改正を

[社説]政治資金の不正根絶へ実効ある法改正を
 
 
#社説 #オピニオン #自民政治資金問題
2024/5/22 19:05
 
衆院政治改革特別委で、提案した政治資金規正法改正案の趣旨説明をする自民党鈴木馨祐氏(22日)
自民党派閥の裏金問題を受けた各党の法改正案の審議が始まった。「政治とカネ」をめぐる不祥事を防ぐには、収支の透明化と厳罰化が必要だ。与野党は不正を根絶し、政治活動の自由を損なわない制度の確立に向けて、議論を尽くしてもらいたい。

各会派は22日の衆院政治改革特別委員会で、それぞれの政治資金規正法改正案などの趣旨を説明した。今国会の会期末まで残り1カ月となり、成立に向けた審議の日程はかなり窮屈となる。

自民党案は政治資金パーティー券の購入者の公開基準を現行の「20万円超」から「10万円超」に下げる。政党が政治家個人に支払う政策活動費は、50万円を超える場合に使途を公開するとした。

罰則強化では議員に収支報告書の「確認書」提出を義務づけ、会計責任者が不記載などで処罰され、かつ議員が必要な確認を怠った場合は、議員が失職する仕組みを導入する。公明党とパーティー券の公開基準などで合意に至らず、異例の単独提出となった。

立憲民主党は国民民主党衆院会派「有志の会」と共同で、政策活動費の禁止、議員も会計責任者と同等の責任を負う「連座制」の導入を柱とする改正案を提出した。立民や日本維新の会は、企業・団体献金などを全面禁止する独自案を個別に提出した。

今回の裏金事件のような不正を防止するには、資金の流れを監視しやすい収支報告と公開の制度が不可欠だ。自民党は政策活動費や調査研究広報滞在費(旧文通費)の使途公開などでも、野党の主張に歩み寄る必要がある。

自民党内では収入の公開基準をさらに下げると、資金が集まりにくくなるとの懸念が根強い。日本は欧米に比べて個人献金が根付いておらず、与野党議員の多くが政党交付金と企業・団体などの応援に頼っているのは事実だ。

企業・団体献金や資金パーティーの全面禁止は、政治家一人ひとりの活動経費をどう賄うかという総合的な議論とセットで検討すべきだ。有権者受けを意識した政略的な主張の応酬にとどめてはならない。

派閥の裏金問題の解明も引き続き重要な課題だ。衆院政治倫理審査会が審査対象として14日に議決した自民党議員44人はまだ誰も出席の意向を示していない。衆参の政倫審などの場を活用し、真相究明と責任追及を急ぐべきだ。