バンブーズブログ

社会の大きな流れは新聞のトップニュースに掲載されます。 その情報を読み続けていくと数年先が見えてきます。それは怖いものなしです。

再審制度の見直しが急務‼️

[社説]再審制度の見直しが急務だ
 
 
#社説 #オピニオン
2024/5/22 19:00
 
静岡地裁に向かう袴田巌さんの姉、ひで子さん(左から3人目)ら(22日)=共同
刑事裁判の再審は、冤罪(えんざい)で有罪となった人を救済する仕組みだ。以前から制度の不備が指摘されてきたが、見直しの機運が高まっている。

そのきっかけとなった袴田巌さんの再審が22日、結審した。1966年に静岡県清水市(現静岡市)で一家4人が殺害された事件で死刑が確定したが、9月の判決で無罪が言い渡される公算が大きい。今回の裁判を教訓に、法整備を急がねばならない。

制度の問題点は「開かずの扉」と言われるハードルの高さ。そして時間がかかることだ。袴田さんの場合、最初の申し立てから再審が決まるまでに40年以上かかった。再審に関する法律の規定が不十分なことが、認められにくく、長期化する要因だとされる。

法務・検察当局は制度の見直しに慎重だという。いったん確定した判決を変更することで、法秩序への信頼が損なわれる恐れがあるためだ。だが無実の人を罰することは国家による重大な人権侵害だ。弊害ははるかに大きい。

日本弁護士連合会は、請求手続きにおける証拠開示の制度化や、開始決定に対する検察官による不服申し立ての禁止を求めている。

袴田さんは、再審請求審の途中で新たな証拠が明らかになったことで、無実である可能性が高いと判断された。もっと早く開示されていれば、ここまでの長期化は避けられたのではないか。不服申し立ての禁止と合わせ、早急に議論を始めたい。

3月には超党派の国会議員により、早期の法改正を目指す議員連盟が結成された。地方議会でも法改正を求める意見書の採択が広がっている。法曹界だけでなく、政治の側からこうした動きが出たことは評価できる。

冤罪の防止や救済は、民主的な法治国家の根幹にかかわる問題だ。欧米各国や韓国、台湾なども法整備を進めてきた。袴田さんの裁判は海外でも関心が高い。判決だけでなく、再審制度そのものにも厳しい目が注がれている。