バンブーズブログ

社会の大きな流れは新聞のトップニュースに掲載されます。 その情報を読み続けていくと数年先が見えてきます。それは怖いものなしです。

実のある米中対話で衝突防げ

社説]実のある米中対話で衝突防げ
 
 
#社説 #オピニオン
2024/6/1 19:00
 
米中両国の国防相は1年半ぶりに対面で会談した=ロイター
米中国防相シンガポールで会談し、台湾や南シナ海ウクライナ情勢で激しく応酬した。危機管理に関する作業部会の年内開催など対話の継続では一致した。

1年半ぶりとなる今回の会談を含め、様々なレベルで米中間の意思疎通が活発になってきた点は評価したい。偶発的な衝突を防ぎ、地域の安定につながるよう実のある対話を続けてほしい。

最大の懸案である台湾海峡を巡ってオースティン米国防長官は中国に威圧をやめるよう求めたが、中国の董軍国防相内政干渉だとして反発した。南シナ海では米側が航行の自由を尊重するよう呼びかけたのに対し、中国側が米国によるフィリピンへの中距離ミサイル配備は地域の安定を脅かすとして「断固反対」を表明した。

ロシアのウクライナ侵略も平行線をたどった。米側は中国に軍民両用品の対ロ輸出停止を強く求めているが、中国側は「厳格な管理を実施している」と反論した。

会談の場となったシンガポールでの安全保障会議には、ウクライナのゼレンスキー大統領も参加する。ロシアに一定の影響力がある中国は、ロシアの侵略を後押しすることになる軍民両用品の輸出を直ちに全面停止すべきだ。

これらの課題は米中両国の立場の隔たりが大きく、一朝一夕の進展が難しいのは事実だ。ただ軍事外交チャンネルを今後も機能させると確認したのは、前向きな動きだととらえたい。

中国軍の最高意思決定機関は習近平国家主席をトップとする中央軍事委員会だ。オースティン氏は中央軍事委で習氏に次ぐ副主席を務める人物との会談を要求してきた。中国の国防相には軍事行動の決定に関与する実質的な権限がないとみているためだ。中国側はこれを一貫して拒んでいる。

董氏が軍内でどのような役割を果たしているのかは不透明な面がある。米中対話を実のあるものにするためには、権限を持つ人物が互いに腹を割って意見交換する必要があるだろう。