バンブーズブログ

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[社説]合憲に甘えず抜本的な参議院改革を


 
 
#社説 #オピニオン
2023/10/19 2:00
 
最高裁は「さらなる是正は喫緊の課題」と注文をつけた(18日、最高裁大法廷)=共同
1票の格差が最大3.03倍だった2022年7月の参院選について、最高裁は18日、投票価値が著しい不平等にあるとはいえないとして、合憲とする判断を示した。参院選の1票の格差はおおむね3倍が合憲の目安とされており、それに沿った判決といえよう。

ただ、人口の東京集中は再び加速しており、今後も1票の格差が拡大するのは確実だ。判決は「さらなる是正を図ることは喫緊の課題」と指摘した。与野党は合憲判断に甘えず、参院のあり方を含めた抜本的な選挙制度改革の議論を進めてほしい。

今回は裁判官15人のうち3人が「違憲」「違憲状態」とする個別意見をつけた。高裁段階でも判断は割れている。司法が手放しでお墨付きを与えたわけではないことを国会は重く受け止めるべきだ。

与野党参院改革協議会で選挙制度改革の論議を進めている。ただ現状はオンライン審議の導入などにとどまり、選挙制度参院のあり方などの踏み込んだ議論になっていない。

判決は、参院改革協議会での議論の停滞にも言及。合区した選挙の投票率が低迷していることや、参院のあり方など難しい課題があることに理解を示しつつも「抜本的な見直しも含め、さらなる是正の方策について具体的な検討」を求めた。

当面の是正策としては、さらなる合区を排除せず、できるだけ制度変更の頻度を少なくする策を探るべきだ。東北や九州などのブロックを選挙区にする案も検討課題になる。交通網の整備で地域経済の広域化が進んでいる実態を踏まえた議論を期待したい。

それには参院のあり方を含めた議論も必要になる。参院に地方代表の性格を持たせることなどには憲法の規定がからむが、憲法論議が必要な抜本的な対策と、法改正や運用で対応できる方策を仕分けして議論すべきだ。

衆参の役割分担を話し合うため、衆参合同の協議会を設けることを考えてもよいだろう。