バンブーズブログ

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[社説]日本とASEANは安保協力を着実に進めよ‼️


 
 
# ASEAN #東南アジア #社説
2023/11/7 2:00
 
岸田氏は日本の首相として初めてフィリピン議会で演説し、法の支配の重要性を訴えた(4日、マニラ)=ロイター
岸田文雄首相がフィリピンとマレーシアを訪問し、東・南シナ海覇権主義的な動きを強める中国をけん制するため、安全保障分野の協力を深めることで一致した。

太平洋戦争の反省から、日本の対東南アジア諸国連合ASEAN)外交はこれまで経済協力が中心だった。いまの米中対立下で日本には安保支援の期待も強まる。地域の緊張を高めることは避けつつ、連携を着実に進めたい。

フィリピンではマルコス大統領と会談し、海洋の警戒体制を強化するため沿岸監視レーダーを無償供与することに合意した。非軍事分野に限定される政府開発援助(ODA)を補完し、友好国に防衛装備品を供与する目的で新たに創設した「政府安全保障能力強化支援(OSA)」を初適用する。

OSAの活用では、マレーシアのアンワル首相との間でも資機材供与を急ぐことを確認した。

自衛隊とフィリピン軍の往来手続きを簡素化する「円滑化協定」の交渉開始も決めた。締結すれば「準同盟国」のオーストラリアや英国に次ぎ、米国を加えた多国間の合同演習が進めやすくなる。

岸田氏はまたフィリピン議会で日本の首相として初めて演説し、「法の支配に基づく国際秩序が重大な危機にさらされている」と述べた。南シナ海全域に主権が及ぶとする主張を国際的な仲裁裁判所から退けられたにもかかわらず、判決を無視して強引な海洋進出を続ける中国を暗に批判した。

岸田氏は1977年に当時の福田赳夫首相が同じフィリピンで行った演説にも言及した。日本が再び軍事大国になるのを否定し、東南アジアを「対等なパートナー」と位置づけた内容は「福田ドクトリン」と呼ばれ、その後の対ASEAN外交の指針となった。

経済成長するASEANは、2030年ごろには域内総生産(GDP)で日本を追い抜く見通しだ。文字通りに対等な関係が近づく一方、日本の防衛費増強にASEANから警戒の声がほとんど聞かれないのは、地域の安定を最優先する日本の姿勢が、一定の信頼を得ているからだといえよう。

日本とASEANの友好協力が始まって今年は50周年の節目を迎え、12月には東京で特別首脳会議の開催が予定される。岸田氏は次の50年に双方の関係をさらに緊密にするため、今回の訪問成果を、来月に打ち出すという共同ビジョンの策定に生かしてほしい。