バンブーズブログ

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[社説]習近平政権は「恒大問題」を先送りするな


 
 
#社説 #オピニオン
2023/12/6 19:00
 
中国・深圳の中国恒大集団本社(2021年11月)
これ以上、問題を先送りすれば中国経済だけでなく世界経済も傷を負いかねない。習近平政権は経営危機に陥った不動産大手、中国恒大集団の抜本的な処理策を一刻も早く示すべきだ。

香港の高等法院(高裁)は4日、恒大の債権者が申し立てた法的整理を認めるかどうかの審理を開き、判断を来年1月29日まで先延ばしすると決めた。

担当の裁判官は10月の前回審理で「判断の延期はこれが最後だ」と明言していたはずだ。先送りは恒大の新たな債務再編案を協議するために債権者の側が求めたというが、わかりにくく不透明な決定といわざるを得ない。

恒大の経営危機が2021年夏に表面化してから、すでに2年以上がたつ。この間、恒大が抱える債務の再編はほとんど進んでおらず、経営再建の見通しはまったく立っていない。

今年6月末で、債務総額は約2兆4000億元(約50兆円)に膨らんだ。6400億元あまりの債務超過で、恒大は事実上の破綻状態にあるといっていい。

にもかかわらず、中国政府は法的整理を含めた恒大の抜本処理に踏み込もうとしない。代金を先払いしたのに住宅の引き渡しを受けていない個人ら幅広い取引先に影響が及び、社会不安につながるおそれがあるからだ。

中国経済は不動産不況に起因する需要不足を背景に、新型コロナウイルスの収束後も低迷が続く。

中国政府は10月に1兆元の国債増発を決め、本格的な財政出動に乗り出した。しかし、経済学者らからは「需要不足を埋めるには不十分」との声が聞かれる。

中国の国内総生産GDP)に占める不動産の割合は、関連産業も含めれば3割に達するとの試算がある。恒大や碧桂園控股といった不動産大手の経営問題が片付かないかぎり、景気の本格的な回復は望めない。

必要に応じて公的資金の投入も選択肢に入れるべきだ。残された時間は少ない。