バンブーズブログ

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[社説]なし崩しのガソリン減税は筋が通らない


 
 
#社説 #オピニオン
2023/12/6 19:05
 
岸田文雄首相の指示を受け、トリガー条項の凍結解除に関する協議に臨む(左から)国民・大塚、自民・萩生田、公明・高木の各政調会長(11月30日、国会内)
自民、公明、国民民主の3党が価格高騰時にガソリン税を減税する「トリガー条項」の凍結解除を巡る協議を始めた。岸田文雄首相の指示による。ガソリン高の抑制で政権基盤を強める思惑が垣間見えるが、脱炭素にも逆行するなし崩しの動きは全く筋が通らない。

トリガー条項はレギュラーガソリン価格が全国平均1リットル160円を3カ月連続で超えると、ガソリン税のうち約25円分の上乗せ課税を止める仕組みだ。3カ月連続で同130円を下回れば課税を再開する。2011年の東日本大震災に伴う復興財源の確保を理由に特例法で凍結しているが、法律を改正して減税を実施する構想だ。

3党は22年にも凍結解除を議論したが、与党内に流通の混乱などへの懸念が根強く、代わりに石油元売りへの補助金でガソリン価格を下げる制度を入れた。補助金が24年4月末に期限を迎えるため、同条項の凍結解除が再浮上した。

政権運営への思惑もある。国民民主党は今回の協議と引きかえに今国会の23年度補正予算の採決で賛成した。同党は3党協議で年内に結論を出すよう主張している。

生活に困窮する人への一定の支援は必要としても、十分に的を絞る形に改めるべきだ。高所得層にも広く恩恵が及ぶ減税は不適切である。主要7カ国(G7)はエネルギー高騰への支援を最も弱い人々に絞り「適切に段階的に廃止すべきだ」と合意した。議長国の日本が反することになる。

化石燃料であるガソリンの価格を抑えれば需要を増やす効果がある。省エネや再生可能エネルギーへの転換など、温暖化ガスの排出抑制に向けた国際的な取り組みとの整合性もとれない。