バンブーズブログ

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[社説]日大は悪弊断ち解体的再生を《安易な幕引きはダメ》


 
 
#社説 #オピニオン
2023/12/8 2:00
 
日大アメリカンフットボール部員の薬物事件を巡り、記者会見する林真理子理事長(4日、東京都千代田区)=共同
身内で情報を抱え込む「秘密主義」に、学外の理事らを疎んじる「排外主義」。日本大学が弁護士のもとで一連の不祥事を総括し、文部科学省に提出した改善計画が指摘する組織の病理である。

日大は私立大の団体が定めたガバナンスコード(統治指針)の順守状況について今年の春、危機管理や情報公開などすべての項目で問題はなく改善が進んでいる、と自己評価していた。

ゆがんだ自画像を直視し、解体的出直しを図る最後のチャンスと自覚すべきである。

アメリカンフットボール部の学生による薬物事件で浮かんだのは統治や内部統制の機能不全だ。

競技スポーツを所管する元検事の副学長は寮で植物片を確認しながら捜査機関に届け出ず、手元で保管。経営に重大な影響を及ぼす事案は危機管理担当の理事に報告する責務があった。だが、証拠隠滅が疑われる対応に終始した。

事実を把握できなかった林真理子理事長は、結果的に副学長の独断を追認する失態を演じた。

体育会部門の秘密主義の悪弊は新体制でも相変わらずだ。

脱税で有罪判決が確定した元理事長は、相撲部監督を経て巨大組織のトップに君臨した。業者などとの癒着疑惑を指摘されながら幹部を側近で固め、不祥事の追及を抑え込んだとされる。相互チェック機能が働かない組織風土そのものが、改めて問われている。

日大は改善計画にアメフト部の廃止方針を盛り込んだ。だが、これは教育部門の判断で、理事会の正式決定ではない。林理事長は会見で「継続審議中」として詳細について明言を避けた。

廃部をめぐっては、賛否両論がある。まず、違法薬物の使用実態の解明を進め、監督やコーチなど大学側の責任も明確にしたうえで、学生や社会に対し筋の通った説明をする必要がある。安易な幕引きは許されない。

競技スポーツ部門を含め、どのように組織を刷新するのか。日大の再生を占う試金石となる。