バンブーズブログ

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[社説]中国経済の復活には民間の活力が必要‼️


 
 
#社説 #オピニオン
2023/12/18 19:05
 
12月半ばに中国共産党と政府が開いた中央経済工作会議。習近平国家主席(中央)は新たな財政出動に慎重とみられている=新華社・共同
中国経済の先行きは楽観できる状況にない。にもかかわらず、習近平政権の動きは鈍い。民間の活力を引き出し、景気を成長軌道に戻す政策が必要だ。

中国では不動産不況を起点とする需要不足が続いている。消費動向を映す小売売上高は11月に前月を0.06%下回り、4カ月ぶりのマイナスとなった。

関連産業を含めれば国内総生産GDP)の3割を占めるといわれる不動産業がふるわない。1〜11月の新築住宅販売面積は前年の同期に比べ7.3%減少した。

不動産大手の中国恒大集団や碧桂園控股の経営危機は出口がみえない。若者らの失業も深刻なままだ。先行きへの不安が消費者心理に暗い影を落とす。

需要が増えないから、物価が上がらない。11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月に比べ0.5%下落した。2カ月連続のマイナスで、中国経済は本格的なデフレに陥る瀬戸際にある。

足りない需要を穴埋めするために、政府が積極的に動くべき局面だ。習政権は10月に1兆元(約20兆円)の国債増発を決めた。

12月の半ばに開いた2024年の経済政策を話し合う中央経済工作会議でも、積極財政を強化する方針を確認した。しかし具体的な内容に乏しく、市場ではむしろ習政権が新たな財政出動に慎重との見方が広がる。

なにより、経済をどう立て直し、成長軌道に戻すかの戦略が見えてこない。

中国共産党の慣例に従えば、年内に開くはずだった中央委員会第3回全体会議(3中全会)は、年明け以降に先送りされたもようだ。中長期の発展戦略を示す重要会議を開けないのは、習政権が経済再生への青写真を描けていない表れと取られても仕方がない。

中国では共産党が統制する国有企業が力を強め、民間企業の活動を圧迫する「国進民退」と呼ばれる現象が顕著だ。

習政権は経済より、共産党による一党支配の強化を優先しているのではないか。そんな不安をぬぐえない。

中国で民間企業は雇用の8割を担う。イノベーションを生み出すエンジンの役割も果たしてきた。その活力を取り戻さない限り、中国経済の復活はありえない。

それがひいては世界経済の安定にもつながる。習政権は肝に銘じてほしい。