バンブーズブログ

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[社説]中東危機の拡散を回避せよ


 
 
#中東・アフリカ #国際 #社説
2024/1/12 19:00
 
親イラン武装組織フーシの拠点攻撃作戦に参加する軍用機=米中央軍提供・ロイター
米英軍がイエメンの親イラン武装組織フーシの関連施設を攻撃した。紅海であいついだ商船襲撃に対する報復だ。パレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃ではじまった危機が関連国を巻き込んで拡大する事態を避ける必要がある。

米英軍をオーストラリアやバーレーン、カナダ、オランダが支援した。バイデン米大統領は「航行の自由を妨害することを認めないという明確なメッセージを送った」と強調した。

フーシは国際社会の強い警告にもかかわらず、無人機(ドローン)やミサイルで商船への攻撃を繰り返してきた。ハマスとの連帯を示す目的と主張したが、国際物流のネットワークを脅かす行動はお門違いと言わざるをえない。

懸念されるのはガザの衝突が拡散し、制御不能の混乱に陥る事態だ。民主主義陣営はロシアの侵攻を受けたウクライナを長期に支え、台湾をめぐる緊張に対応する必要がある。中東情勢のこれ以上の悪化に対処する余裕はない。

衝突の拡散を望む国はほとんどない。米国や欧州、アラブ諸国だけでない。イスラエルも、ハマスやフーシなどの後ろ盾となっているイランも戦線拡大による直接の関与を避けたいはずだ。

関係国は公式、非公式のルートを通じて行動の意図を確認しあい誤解が不測の事態をまねくのを避けなくてはならない。だれかがどこかで相手の「レッドライン」を見誤るリスクが高まる。イラン海軍は11日「オマーン湾で米国の原油タンカーを拿捕(だほ)した」と発表したが、危険な挑発を自制すべきだ。

日本政府は航行の自由や権利を守る努力を続けるとともに、緊張緩和に向けた中東の外交でも役割を果たしてほしい。

中東危機の震源であるパレスチナ問題の解決に国際社会は本格的に向き合うべきだ。事態が深刻化するガザの人道支援を急ぐとともに、戦闘の早期終結に向けた努力を重ねる必要がある。