バンブーズブログ

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衝突回避へ米イランは自制を

[社説]衝突回避へ米イランは自制を
 
 
#社説 #オピニオン
2024/1/30 19:00
 
無人機による在ヨルダン米軍拠点への攻撃について説明を受けるバイデン大統領㊧=ホワイトハウス提供・ロイター
ヨルダン北東部で米軍拠点が親イラン武装勢力無人機によるとみられる攻撃を受け、米兵3人が死亡した。バイデン米大統領が報復すると宣言し緊張が高まっている。パレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスイスラエルの衝突が関係国を巻き込みさらに広がるのを食い止めねばならない。

各地の親イラン勢力は米軍拠点などへの攻撃を繰り返してきたが、米兵に死者が出たのはガザの衝突が始まって以来はじめてだ。11月の米大統領選挙を前にバイデン氏には強硬策を求める圧力が高まる。事態をさらに緊迫化させる過剰な軍事行動は避けるべきだ。

すでにガザの衝突はヨルダン川西岸地区イスラエルレバノン国境など各地に拡散する兆しが強まっている。米国とイランが直接衝突するような事態になれば、混乱は制御不能な状況となりかねない。重要なエネルギー供給地である中東の紛争が泥沼化するなら、世界経済を大きく揺さぶる。

ハマスも含め各地の親イラン勢力の行動すべてをイラン指導部が統率できているわけではない。だがイランが代理勢力を通じた挑発で影響力を誇示しようとしているとすれば、危険な戦略と言わざるをえない。

関係国はこれ以上のエスカレーションを避けるため外交努力を尽くす必要がある。ガザの衝突をめぐっては米国などの仲介による戦闘休止交渉が進む。2023年にいったんは成立した合意を復活させ、ガザへの支援物資の搬入や人質の交換を進めるべきだ。

国連パレスチナ難民救済事業機関UNRWA)の職員が、衝突のきっかけとなったハマスによる攻撃に関与した疑惑が浮上し、日本や米国などが資金拠出を一時停止すると表明した。国連機関への信頼を傷つける残念な事件だ。

徹底調査とともに中長期的なガバナンスの改善が求められる。一方で燃料や食糧、医薬品が不足し、すでに深刻な人道危機に直面しているガザの人々への支援を途切らせてはならない。