バンブーズブログ

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[社説]自転車の安全意識を高めたい


 
 
#社説 #オピニオン
2024/1/17 2:00
 
反則金制度の導入で交通違反の抑止を目指す(東京都江戸川区
赤信号や一時停止を無視する。スマホ片手に歩道を走る――。重大な交通事故をまねきかねない自転車の違反を減らそうと、警察庁が新たな取り締まりの仕組みを打ち出した。今年の通常国会道路交通法改正案を提出する方針だ。

現行の手続きより簡略な「反則金」制度を導入し、より効率的な取り締まりを可能にする。該当する違反行為などを丁寧に周知し、交通ルールの徹底と事故防止につなげたい。

反則金は自動車やオートバイにはすでに導入されている。違反者に交通反則切符(青切符)を交付し、一定期間内に反則金を納めれば刑事罰を科さない。手続きに時間がかかる交通切符(赤切符)と比べて警察官、違反者側とも負担が小さい。

同庁の案によると、反則切符は16歳以上が対象で、信号無視や一時不停止などを重点的に取り締まる。金額は信号無視の場合で5000〜6000円程度の見通しだ。違反行為に「指導警告」をし、その後も繰り返すなど悪質な場合に青切符を交付するという。

ペナルティーを設けることで、「交通社会の一員である」という自覚を促す効果が期待できる。ただ検挙のみではなく、ルールを順守してもらうことを目的としなければならない。導入後の検証も欠かせない。

昨年4月に努力義務化された自転車のヘルメットの着用率は13.5%(同年7月時点)にとどまる。安全意識の醸成には、子どものうちから家庭や学校での学びを充実させることも忘れてはならない。単に交通法規や標識を学ぶだけでなく、車の動きなどを踏まえた実践的な指導方法を考えたい。

昨年1年間の全国の交通事故死者数は2678人、負傷者数は36万5027人で、それぞれ8年ぶり、19年ぶりに増加に転じた。新型コロナウイルスによる行動制限の緩和が理由とみられるが、憂慮すべき状況だ。

取り締まりと啓発・教育の両輪で事故防止を進めたい。