バンブーズブログ

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あまりにお粗末な事態

[社説]あまりにお粗末なNTT西日本
 
 
#社説 #オピニオン
2024/3/16 19:00
 
NTT西日本の対応には耳を疑う
日本の情報通信インフラの中核を担う会社とは思えない、あまりにお粗末な事態だ。NTT西日本が起こした情報漏洩事件だ。10年近くにわたって事態を見過ごしただけでなく顧客の指摘に虚偽の説明をしたあげくに、ようやく漏洩の事実を認めた。

複雑にネットワーク化された現代社会において、情報流出はどんな組織でも抱えるリスクといえる。悪意に満ち高度な技術を持つサイバー攻撃との戦いは、対策を講じれば新手が登場するもぐらたたきの感すらある。

しかし、今回のNTT西のケースには、そんな言い訳の余地すらない。ずさんな管理体制と、その後の耳を疑うような対応が浮き彫りになった。

NTT西は子会社の元派遣社員によって顧客データがUSBメモリーにダウンロードされ、持ち出されていたことに気づかず放置した。これだけでも情報管理の甘さを問われる事態だが、あきれるのはその後の対応だ。

顧客から指摘されて社内で調査したものの、そもそも端末にはUSBの接続ポートがないなどとして、内部からの漏洩の可能性はないと回答したという。

その後、警察が捜査したことを受け、顧客への報告に虚偽が含まれていたことなどが判明し、会社として情報漏洩を認めた。

顧客から預かる情報を長期間にわたって流出させたうえに、誠実さに欠く対応に終始した。NTT西の責任は重い。猛省すべきであることは言うまでもない。

流出した情報は928万件で、被害者は69団体にのぼる。事態を重く見た総務省から行政指導を受け、NTT西は社長の引責辞任を含む経営体制の刷新を表明した。

折しもNTT法の改正が注目を集める中で起きた不祥事だ。NTTグループは重要インフラを担う責任を再認識し、二度と同じような過ちがないよう襟を正す必要がある。新経営陣にはそれを肝に銘じて情報管理の徹底や、隠蔽体質の刷新に取り組んでもらいたい。