バンブーズブログ

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政情不安ベトナム安定を望む‼️

[社説]政情安定が揺らぐベトナム
 
 
#社説 #オピニオン
2024/3/26 2:00
 
ベトナムのトゥオン国家主席は在任わずか1年で辞任に追い込まれた(2023年11月の来日時)
ベトナムの大統領にあたる共産党序列2位のボー・バン・トゥオン国家主席が突然の辞任に追い込まれた。2023年1月に前任者が解任され、後を継いでいた。憲法上の国家元首が2年続けて失脚する異常な事態となっている。

米中対立に伴うサプライチェーン(供給網)の中国依存の見直しで、ベトナムは有力な受け皿となってきた。売り物だった政情の安定が揺らぎ、日本を含む国外からの投資受け入れに悪影響を及ぼさないか心配だ。

トゥオン氏の解任について、共産党は「党規違反」を理由にあげた。詳細は不明だが、何らかの汚職事件に関与し、引責を強いられたとの見方が有力だ。

ベトナムでは昨年、グエン・スアン・フック前国家主席新型コロナウイルス禍に絡む汚職の責任を問われ更迭された。トゥオン氏はその後任に52歳の若さで就任。11月に来日し、岸田文雄首相との会談で日本との外交関係を最上位の「包括的戦略的パートナーシップ」に引き上げた。

トゥオン氏は最高権力者、グエン・フー・チョン書記長の側近とされ、有力な後継候補と目されていた。79歳と高齢のチョン氏は、26年の党大会で退任が確実視される。次の指導部を巡る権力闘争が激化しているとの見方がある。

11年から書記長を務めるチョン氏は、2期10年までと定めた任期に特例を設けて3期目に入り、汚職撲滅に力を注ぐ。ビジネス環境の透明性が増せば、経済の効率性が高まり、外資にも恩恵はある。

一方で反汚職は政争の道具に使われやすい。すでに中央省庁や地方政府が萎縮し、許認可が滞る弊害が指摘される。党幹部の相次ぐ更迭は、そうした傾向に拍車をかけ、輸出不振で成長率が鈍化する経済に重荷となりかねない。

日本はベトナムと関係を深めてきた。2千社を超す日本企業が現地へ進出し、最近は防衛協力も拡大している。内政の混乱が両国関係に影響を与えないか、情勢を注視していく必要がある。