バンブーズブログ

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電子ごみが世界で急増し、リサイクルが追いついていない

[社説]電子ごみのリサイクル広げよ
 
 
#社説 #オピニオン
2024/4/3 19:00
 
電子ごみが世界で急増し、リサイクルが追いついていない(ケニアのナイロビ郊外にあるリサイクル施設)=AP
使われなくなった家電製品やパソコン、スマートフォンなどの「電子ごみ」が急増している。世界的にみたリサイクル率は2割ほどで、多くは途上国で廃棄されるか違法に処理されている。

電子ごみは有害物質を含む場合があり、健康や環境への影響が懸念される。国際連携によって回収体制を整え、リサイクル率を大幅に引き上げる必要がある。

国連によると、世界の電子ごみは2022年に6200万トンと過去最多になり、10年から82%も増えた。電子機器の急速な普及や製品の短命化にリサイクルが追いついておらず、30年には8200万トンに達する見込みだ。

電子ごみは金や銅などの貴重な金属を含むため、全量をリサイクルした場合の価値は、910億ドル(約14兆円)と大きい。30年までにリサイクル率を60%に引き上げれば、380億ドルの利益を生むという。国際的なリサイクル体制を整えることが急務である。

まず取り組むべきは、電子ごみの回収手段の確立だ。新興国や途上国では、電子機器の急速な普及にもかかわらず、廃棄に関する制度や技術が未熟で法規制も緩い国が少なくない。

先進国にもリサイクル率が3割以下の国がある。廃棄物の貿易を規制するバーゼル条約が改正され、25年から無害な電子ごみの輸出も規制される。先進国は責任を持って国内で処分することを大前提に対処すべきだろう。

リサイクル技術の普及も急ぎたい。日本には優れた技術を持つ企業が多く、電子ごみを輸入して再資源化する事業を手がけている。規制強化は日本企業にとってビジネスを広げる好機になる。

政府は米欧や韓国、東南アジア諸国連合ASEAN)などと連携を進めるという。国際連携でリサイクル体制を確立できれば、経済安全保障の観点からも有益だ。その技術協力や体制づくりで日本が果たすべき役割は大きい。地球規模の環境問題を解決しつつ、新たな産業の育成につなげたい。