バンブーズブログ

社会の大きな流れは新聞のトップニュースに掲載されます。 その情報を読み続けていくと数年先が見えてきます。それは怖いものなしです。

国賓待遇の訪米が良い方向に

[社説]世界の安定を促す国賓訪米に
 
 
#社説 #オピニオン
2024/4/7 19:00
 
9年ぶりの国賓待遇の訪米で岸田首相は日米同盟の強化を世界に打ち出す
岸田文雄首相が今週、バイデン米大統領の招きによって国賓待遇で米国を訪れる。国賓待遇の日本の首相訪米は9年ぶりとなる。

世界は当時から様変わりした。中国の振る舞いは強権の度合いを増し、ロシアはウクライナへの全面侵攻に踏み切った。冷戦後、法の支配に基づく国際秩序がいまほど試練を迎えているときはない。日米同盟を深化させ、世界の安定に資する訪米としてほしい。

台湾や朝鮮半島有事への備えは待ったなしだ。危機に迅速に対処するには自衛隊と米軍の円滑な連携が要る。この実現のため、自衛隊は陸海空の部隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」を今年度中につくる。米側でその調整相手となるのは沖縄の海兵隊などへの指揮権を持つインド太平洋軍だ。

同軍は司令部をハワイに置くため、日本とは時差や距離がある。平時から日米が部隊を統合運用しやすい体制に改めなければならない。実効性ある連携の具体策を速やかに実現すべきだ。

欧州のような多国間の安全保障体制がないインド太平洋の安定には、日米を軸にオーストラリア、韓国といった同志国との連携が欠かせない。

首相訪米にあわせ、日米とフィリピンの3カ国による初の首脳会談を開くのはその一環だ。南シナ海で中国の威圧を受けるフィリピンと日米の協調は、同じ悩みを抱えるベトナムやマレーシアなどを勇気づけるに違いない。

経済では人工知能(AI)、宇宙といった先端技術の協力や、重要物資の中国依存からの脱却に向けた連携拡大を探る。経済安保の観点でみれば、交渉が難航している日本製鉄による米USスチール買収も供給網の強化に貢献できるはずだ。首相は実現へバイデン氏に直接働きかけてほしい。

首相は米連邦議会の上下両院合同会議で演説にも臨む。国際秩序を維持する決意を訴え、日米同盟への超党派の支持を改めて確認する好機だ。それはトランプ前大統領の再登板への備えにもなる。