バンブーズブログ

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日鉄のUSスチール買収を政治化するな‼️

[社説]日鉄のUSスチール買収を政治化するな
 
 
#社説 #オピニオン
2024/3/15 19:00
 
ペンシルベニア州にあるUSスチールの生産拠点(2022年11月)=ロイター
政治が正当な理由もなく民間企業の経営に介入してはならない。その意味で重大な懸念を抱かざるを得ないのが、日本製鉄による米USスチールの買収を阻止しようとする動きだ。

トランプ前大統領が反対の意向を示したのに続き、14日にはバイデン大統領が「USスチールは米国の象徴。国内で所有・運営される鉄鋼会社であり続けることが重要だ」と声明した。日鉄の名指しこそ避けたが、外資によるUSスチール買収に懸念を表明した。

だが、根拠がよく分からない。政府には買収を差し止める権限があるが、それは買収や合併で市場が寡占化し、競争が妨げられたり、安全保障上の危うさが生じたりする場合に限られる。

日鉄は米国の緊密な同盟国である日本の企業であり、半導体に続いて素材分野でも日米の産業連携が深まることは、両国の経済安全保障にとってプラスだろう。

日鉄が強みを持つ先端鋼材の技術をUSスチールの工場にも展開することで、米国の供給網の強化に寄与するはずだ。

今回の買収で米鋼材市場の寡占度が著しく高まるわけではなく、競争政策上の懸念もほぼない。

この買収は敵対的ではなく、両社経営陣の合意による。日鉄はあくまで買収実現をめざす方針で、それにはUSスチールと手を携えて買収の利点を関係者に訴えるしかない。とりわけ買収反対を掲げる全米鉄鋼労働組合(USW)の翻意が欠かせない。買収後の経営ビジョンや働く人のメリットを丁寧に説明する必要がある。

USスチールが本拠を置くペンシルベニア州は今年11月の米大統領選のカギを握る接戦州の一つだ。選挙戦が進むにつれて、外資の排除や保護主義的な言説がトランプ氏だけでなくバイデン氏からも飛び出す恐れもある。

だが、それは米国にとってもマイナスでしかない。4月に訪米する岸田文雄首相は同盟国の首脳として、米国の官民にポピュリズムの危うさを直言してほしい