バンブーズブログ

社会の大きな流れは新聞のトップニュースに掲載されます。 その情報を読み続けていくと数年先が見えてきます。それは怖いものなしです。

深刻な教員のブラック労働続く

保護者から「面談して。土曜か日曜で」…残業超過、
2023年4月29日 06:00
東京新聞

文部科学省は28日、2022年度の教員勤務実態調査結果(速報値)を公表した。国の指針で残業時間上限の月45時間超に相当する学校内勤務時間「週50時間以上」の教諭は小学校で64.5%、中学校は77.1%に上り、深刻な長時間労働が続く実態が分かった。教員の仕事を手助けする人の配置は徐々に増えているが、担う仕事は依然多く、現場から「教員不足を何とかしてほしい」という切実な声が聞かれた。(榎本哲也

 

◆「その日は休みで…」と言えなくて

うちの子のことで、面談してください。土曜か日曜で。平日は仕事なので—。こう頼む保護者は少なくないと、東京都内の公立中学で3年の担任を務める30代女性教員は明かす。「『その日は休みで…』と言えば関係が悪くなるので、引き受けますね」

ここ数年、良い変化もある。校長が「働き過ぎに気を付けて」と配慮し、45分間の休憩時間は手を休められる。休憩時間中の職員会議が当たり前だったが、なくなった。ただ、休憩時間に生徒や保護者から相談や電話があれば対応する。「うちの子に特別な宿題を出して」などの保護者の要望も高まり、結果として労働時間が積み重なる。

 

◆部活動「3年後に地域移行なんて、無理」

中学の部活動は長時間労働の要因のひとつだ。文科省は部活動を地域団体や民間に委託する「地域移行」を促し、本年度から3年間を推進期間としている。女性教員は運動部の顧問も務めるが、「3年後に地域移行なんて、無理」。

地域の人が指導員として週4日、部活動の指導を手伝ってくれる。その人が地域移行の担い手になる可能性は、と聞くと「無理でしょう。地域移行となると、予算管理など顧問の仕事があり、生徒への責任も伴う。そこまで引き受ける人や団体がいるのか…」

文科省は、教員の事務作業などを引き受ける支援員の配置も進める。支援員がいる都内の公立小学校の40代の男性教員は「支援員に頼めるけど、テストの採点など任せたくない仕事は多い。消しゴムで消した跡など、採点しながら、子どもの学習状況が分かることはたくさんある」。

文科省は次々に働き方改革を打ち出すが、「できることは、やり尽くしたと感じる」と男性教員。知人には、体調を崩した教員や、引退したのに「人が足りない」と頼まれて教壇に立つ70代の教員もいる。「根本は、やはり教員不足。文科省は現実に正面から向き合ってほしい」