バンブーズブログ

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[社説]生成AIでIT機器に革新を


 
 
#生成AI #社説
2023/10/16 2:00
 
米グーグルは生成AIを応用することでスマートフォンなどの機能を高めようとしている=ロイター
文章や画像を自動で作る生成AI(人工知能)が急速に発達するなか、米巨大IT(情報技術)企業がスマートフォンなどの機器に新技術を応用する動きを強めている。日本企業も新たな流れをとらえ、機器や部品事業の成長につなげる必要がある。

グーグルは生成AIで画像や音声を処理する能力を高めたスマホを日本を含む各地で発売した。アマゾン・ドット・コムは声で操作するスマートスピーカーに生成AIを応用し、メタは眼鏡型のウエアラブル機器などに活用する。

生成AIの利用を急ぐ背景には、スマホ市場などの成長の鈍化がある。米調査会社のIDCによると、2023年のスマホの世界出荷台数は前年比5%減の11億5000万台にとどまり、過去10年で最低になる見通しだ。

各社は生成AIで性能を高め、消費者に購入を促す。グーグルなどは高性能な半導体を機器に搭載して生成AIを利用した情報処理を内部で完結させ、外部のデータセンターを使うことに伴うプライバシー侵害の懸念や、電力消費の増大といった課題に対処する。

IT機器の競争の構図は新技術の登場が塗り替えてきた。無線技術の発達に伴いスマホが普及し、アップルや韓国サムスン電子が台頭した。日本企業はスマホで競争力を発揮できなかったが、技術の転換期を好機とすべきだ。

部品業界も対応を急ぐ必要がある。スマホではソニーグループの画像センサーが高いシェアを確保した。先端半導体の国内生産をめざすラピダスなどにとっても生成AIがカギを握る可能性が高く、各社は機器の進化に目を凝らして先回りする必要がある。

巨大IT企業は機器とソフトを一体で開発する動きを強めている。生成AIでもソフトの力を十分に引き出すためには最適化した機器が不可欠だ。日本企業も部門間の壁を低くするなどして一体で開発を進め、消費者ニーズに合った製品を適切な時期に提供できるようにすべきだ