バンブーズブログ

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日本経済を新たな成長軌道に乗せる指針はどうなったのか❓

[社説]「骨太」の名に値する成長戦略示せたか
 
 
#社説 #オピニオン
2024/6/21 19:05
 
岸田首相は記者会見で秋に経済対策をまとめる考えも示したが‥‥(21日、首相官邸
政府は21日、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)を閣議決定した。日本経済を新たな成長軌道に乗せる指針となるが、「骨太」の名にふさわしい戦略を描けたとは言いがたい。

骨太の方針が示した「デフレから完全に脱却し、成長型の経済を実現させる千載一遇の歴史的チャンス」との認識に異論はない。

物価と賃金の上昇が鮮明になり、日本経済はすでにデフレとはいえない状況だ。需要が足りずに物価が下がり、賃金が増えずに経済全体が縮む。そんな負のスパイラルからはほぼ抜け出せた。

とはいえ、賃上げはまだ物価の上昇に追いついていない。消費は力強さに欠ける。企業が新しい価値を生み出し、稼ぐ力を高めないかぎり、本格的な賃金上昇を伴う持続的な経済成長は望めない。

それを実現するには、なによりも経済の屋台骨を支える産業の育成が重要になる。

骨太の方針は、次世代半導体の量産を後押しする法整備を盛り込んだ。人工知能(AI)や自動運転に欠かせない先端半導体の供給網を国内に築くため、財政支援の枠組みを整える。

世界的な競争から取り残された日本の半導体産業をよみがえらせる、最後の機会かもしれない。政府が可能な限りの支援をするのは理解できる。

一方、巨額の財政支援はいつまでも続けられるわけではない。民間が政府の力を借りずに、自立して半導体産業の発展を支えられるようにするまでの道筋を示す必要がある。今回の方針からそれを読み取れないのは残念だ。

人口減への対策も十分とはいえない。一般ドライバーが有料で客を運ぶ「日本版ライドシェア」について、タクシー事業者以外も参入できるようにするのを先送りしたのは全く理解できない。人口減が急速に進むなか、必要な改革を遅らせる余裕はないはずだ。

財政政策をめぐっては、国と地方の基礎的財政収支プライマリーバランス、PB)を2025年度に黒字化する目標を3年ぶりに復活させた。新型コロナウイルス禍で膨らんだ歳出を平時の状態に戻すため、一歩踏み出す姿勢を示したのは評価したい。

岸田文雄首相は記者会見で、物価高対策として電気料金などの新たな負担軽減策を検討すると表明した。バラマキを繰り返さないよう、慎重な制度設計を求めたい。