バンブーズブログ

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核兵器による被害を絶対に繰り返してはならない‼️

[社説]第五福竜丸70年 非核主導を
 
 
#社説 #オピニオン
2024/3/13 19:00
 
核兵器の非人道性を訴える第五福竜丸の船体(東京都江東区の展示施設)
静岡県のマグロ漁船、第五福竜丸が米国の水爆実験で被曝(ひばく)してから70年がすぎた。核なき世界への努力を日本が主導する決意を新たにしたい。

東西冷戦下の1954年3月1日、太平洋マーシャル諸島ビキニ環礁で、広島原爆の1千倍もの威力を持つ水爆実験が行われた。灰状の放射性降下物がまき散らされ、近隣の島々や洋上で操業していた船舶が被害を受けた。第五福竜丸では甲板に船員の足跡がつくほど灰が積もったという。

船員らには強い放射線によるやけどや脱毛、出血といった症状が出た。帰国後に治療を受けたが、無線長の久保山愛吉さん(当時40)が半年後に亡くなった。日本社会に与えた衝撃は大きく、反核の署名運動が全国に広がる。翌55年8月には最初の原水爆禁止世界大会が広島で開かれた。

放射線被害を伴う核兵器の非人道性に、改めて慄然とする。第五福竜丸以外でも被曝を訴えて裁判になっているケースがある。現地住民の多くが健康被害に悩まされたり、故郷を追われたりした。核兵器による被害を絶対に繰り返してはならない。

世界の潮流は危うい方向にある。ウクライナへ侵攻したロシアのプーチン大統領は2月の年次教書演説で、ロシアの戦略核が「完全な準備態勢にある」と述べた。ロシアに接近する北朝鮮も、核搭載を前提にしたミサイルなどの兵器の高度化にまい進している。

核廃絶への道のりは険しい。それでも日本はあらゆる努力を続けるべきだ。米国の「核の傘」が日本の安全保障の前提になっている現実を前にしても、核なき世界の実現を主導する被爆国としての責務は変わらない。

岸田文雄首相は昨年の主要7カ国(G7)首脳会議で各国リーダーを広島に招いた。シンボリックな意味合いは小さくないといえるが、実質的な前進も必要だ。核兵器禁止条約の締約国会議へのオブザーバー参加といった、新たな一歩も検討すべきだろう。